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「へえ、じゃあ二人のオリジナルなんだ」「ああ、台本とかないんだけどな。小笠原、合図するから、音流してくれるか?」「了解。一応、どんなストーリーかと、どこらでBGMがいるのか大まかにでいいから教えてくれる?」「ああ。うん。えっとぉ」 彼女があらすじを伝えるのに頭の中を整理するため、ちょっと考える。そばで聞いてた室長が、感心したように言った。「アンタ達、ダンス続けてるのは知ってたけど。そんなことまでやってたのねえ。すごいじゃない」「なまえがそういうのは、得意ですから。いつも大筋は彼女が思い付くんですよ」 オレ達が行ってるダンス教室で以前、彼女が即興劇[なまえちゃん劇場、ダンスミュージカルバージョン]を思い付いて遊びでやった。そうしたらダンス講師の亜美にウケた。『楽しみながらダンスをしていていいと思う。もっと見たいわ』と、リクエストされ二人で考えて時々やるようになった。亜美も喜んでくれるし色々考えてやってみるのは結構楽しいので、いいんだが。こんなとこでやることになるとは、思ってもなかった。いつも観客は亜美一人だし、お遊びでしかない。それに、即興でアレンジしていくんだからかなりの無茶っぷりだ。でも、彼女と一緒なら不思議となんとかなりそうな気がしてる。 大筋を伝えたあと、彼女が室長たちに『おおもとはお遊びでやってたやつなんで、ウケるか分からないけど。やるだけやってみます』と言った。彼女は平気そうに振舞ってはいるけど、やっぱりプレッシャーを感じてるようだ。ちょっと顔が白っぽい。出る前、オレは彼女に言った。「なあ、もうさ……。色々考えずにいつもみたいに、お遊びしてると思って楽しんじまおう。楽しんだもん勝ちだろう?」「ん、だね。楽しもう。じゃお巡りさん、僕を連行して」「ああ。ちょっと確認な。何度か補導してて、実は二人ともお互いが気になっていて……。で、オレはなんとか立ち直ってほしいと願ってた。連行しながらまっとうに生きろとすすめて、話してる間に気持ちが高まってきて。えっと……。で、お互い本心を黙っていられなくなり、打ち明けて引き寄せてダンスシーン突入、だよな?」「そう、基本は一緒。さあ、がんばろう。僕の愛しいお巡りさん」 そう言って笑う彼女に微笑み返し、彼女を連行しながら舞台に踏み出した。 ● ○ ● ○ なんとか最後までやりきって、オレ達は担当課から感謝された。彼女が次にどこに異動になるか分からないが、もしかしたらこうして一緒に出るのも最後になるかも知れない。そう思えば、滅茶苦茶にならずに済んで良かった。
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