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──と、兄貴が言った。「でも、あの時の子が僕の義弟になるなんて。驚きだ。……それにしても、きみ。印象がまるで違うよ。そこまで違うと、さすがに言われるまで分からないな」 兄貴がしげしげとオレを眺めて言う。彼女が『ねぇ、よし。そんなに違うの?』と兄貴に興味津々に訊ねる。『うん、なんていうか別人』そんな会話を聞きながら父さんが笑い出した。「そうだなあ。あの頃の昴は、ずいぶんと大人しかったからねぇ。そういえば善晴くんと、感じが似ていたな」「ええー! よしとぉ? 全然違うじゃん。じゃあさーこんなドSでオレ様じゃなかったんだあ?」 彼女の明るさは、ずっと成り行きを心配していたであろうみんなを気遣っての事だろうと思った。彼女流の気遣い。それなら、オレも彼女に乘ろう。「ああ? なまえー、どさくさに紛れて何だ?」「うぎゃードSスイッチ押しちゃったあ? だってぇ、本当の事だもーん。僕はぁ、正直なんでぇーす」「ほーう?」「うわ、ダーリン怖い。桜田門の悪魔にも負けない悪魔な顔してるよ? 悪魔はねー捜査室のお父さんだけで十分でーす」「あん? 何だ? チビ助?」「わー、しまったー。こっちの悪魔スイッチも押しちゃったー。いやーん。お義父さーん、助けてぇー」「あははは。そうだな。可愛い娘のお願いか。なら、お義父さんはなまえちゃんの味方をしよう」 父さんが笑う。「わーい。さすが、お義父さん」 父さんの後ろに逃げ込んでひょこっと顔を出す。「どうだー? お義父さんを味方にしたぞぉ。最強だぞ。桜田門の悪魔でも、手が出せまい? ふふ」「このチビガキー。ずるいぞ」「へへーん、賢いと言ってー。戦略だよ、戦略。桜田門の悪魔、穂積泪撃沈ー」「チビの勝ち」 小笠原がいつものように言う。きっとみんなも彼女の気持ちに、気付いてくれている。(なまえ。お前がよく言うけど、本当にオレ達はひとに恵まれているよな。みんないいやつらだ) 「で? なまえ、オレは父さんじゃ撃沈出来ねーけど?」「あ? ぐっ、そうだった。オレ様ダーリンがまだ残ってた」「さー、なまえをとっ捕まえて、おしおきかなー?」「んん? とっ捕まえるぅ?」 そう聞きながらずいっとオレの前まで来る彼女。展開が読めなくて様子をみる。「ねえ? ダーリン、すごいよね。僕とダーリン、ずーっと昔に会ってたんだよ。この中で家族以外に一等先にさ。ふふ。ほら、見える?」 彼女は小指を出して言った。いつものくりくりお目めの上目遣いでオレを見上げた。「運命の赤い糸。僕とダーリンの小指に、繋がってる。ダーリンにも、見えるでしょう?」 オレの大好きな笑顔で言う彼女。その小指にオレと繋がる赤い糸が確かに見える気がした。「ああ。だな。オレにも見えた。ったく、降参だ。お前にはかなわねーよ。ほんと、最強な奥様だ」『えへへ』と笑う彼女を愛しく思い頭を撫でながら、胸の中でお義父さんとお義母さんに『あなた方の大切な娘さんを、オレはこの先も一生大切にします』と誓った──。──34。──End.35。チャイナナイト。に続く。
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