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● ○ ● ○「あら、昴。その子どうしたの?」 僕はお父さんとお母さんに説明した。お父さんは早速親を探しに行こうとしたが、その子は僕のベストをまたぎゅっと握って離れなかった。お父さんはとりあえず、院内放送を頼んで来た。「にーに。あーちゅ、あーちゅ」「何か言ってるわ。あーちゅ? あーちゅって何?」「僕がアイスを買ったんだけど、それが食べたいみたい。お母さん、あげてもいい?」「そうなの? この子アレルギーとか大丈夫かしら?」「んーアイスってそれを見て分かるって事は、いつも食べてるんじゃないかな」「ああ、そうね。じゃあ、お迎えを待つ間に少しあげたら?」 座って一緒に食べる事にした。ふたを開けすくって『あーん』と口元に持って行く。すると、またその子が言った。「にーに、くーくーは?」「くーくー? くーくーって何?」「くーぅくーぅ」 何だろう? と三人で考える。その子は一生懸命『くーぅくーぅー、にいに、くーぅくーぅー』と言いながら手を動かしている。一生懸命なので何とか分かってあげないといけない気になって来て、僕も一生懸命推理する。その内にふっと思う。「もしかして、手を振ってるんじゃなくて回してる? くるくるって」「ああ、そうかも。くーぅくーぅーって、くるくるってことじゃないかしら?」「なるほど。アイスをくるくる練ってくれって事かな?」「え? 練るの? 変わった食べ方だねぇ。ねぇ、これをくるくるするの?」 一応聞いてみると、そうみたいだ。アイスをちょっとくるくるするとクリーム状になった。それを見てその子は『あーん』と口を開けたのでちょっとずつ食べさせた。すごく嬉しそうににこにこしたので『美味しい?』と聞くと笑顔で『しー』と言った。「にいに、あーん」「もっと?」「にいに、あーん」「昴、もしかしたらきみも食べろって言ってるんじゃないかな?」「ああ、僕?」「にいに、あーん」 僕も食べる。クリーム状のアイスは初めて食べたけど結構美味しかった。僕が食べるとその子が『にいに、しー?』と聞いて来た。「うん。美味しいね」 そう言うとその子は、僕にまた笑った。「分かるのかな?」「うん、そうみたいだね。もしかしたらお兄ちゃんがいて、いつもこうやって食べてるのかも知れないね」 お父さんの言うのを聞いて(僕にもこんな妹がいたらいいなあ)と思った。「可愛いわねえ。女の子よねぇ? 女の子もいいわねえ。もうひとり、女の子欲しいわね」 そうしてる内に足音が聞こえて来て、男の子が走って来た。男の子は僕と同じ位の背格好で、同じようなベストを着てた。「なまえ! ああー見つかって良かった」 はあはあと息を切らせながら、そう言って僕達に『すみません。その子は僕の妹です』と言った。
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