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「な、何? 呼んだ?」「このバカ! バカは僕じゃなく、お前じゃんか! 何でもっと早く言わねえんだよ! せめて親父が生きてる内に言え! そうすりゃあ、母ちゃん居なくても三人で想い出だって作れたかも知んないだろ、このバカ! 全く、お前も親父もくだらねえ事にこだわりやがって。ほんと、うちの男共はアホだな。死んでから言われたって何にもしてやれねーつうんだよ。あーあーもう! もったいねー事したな。今頃、親父も母ちゃんに怒られてるぞ、きっと。俺が母ちゃんだったら『ばかねえ』って怒るもん。似てんだろ? 俺と母ちゃん」「う、うん。すごく似てる。あ、お母さんの映像見る? あるよ。なまえちゃんも映ってる」「ん、見る。母ちゃん見たいもん。あ、ならあっちで見よう。親父も見たいだろ。きっと」 それから、兄貴の解説付きでみんなで映像を見た。赤ちゃんの頃のなまえを笑顔が囲んで本当に幸せそうな光景が収められていた。お義母さんは今のなまえに姿も声もよく似ていた。笑顔を絶やさないひとだったみたいだ。いくつか見る内にある一本を見た時、何かが引っ掛かった。でもその引っ掛かりが何か、オレには分からなかった。兄貴が言った。「なまえちゃん、覚えてないだろうけどこの時大変だったんだよ? 迷子になっちゃって。みんなで、青くなって探したんだ」 その時、父さんが『あれ?』と言いながら身を乗り出し画面をじっと見た。「お兄さんここ、*○○県○○市の○○療養所ではないですか?」「うーんどうかなあ。詳しい場所、もう覚えてないんですけど。田舎の方の療養所なのは間違えないです。確か、父が人づてに評判を聞いて来て。母にどうかとみんなで見学に行ったんですよ。結局母が、みんなと離れて暮らすのは嫌だってやめたんですけど」「そうなんですか……。昴。多分、私達もここに見学に行った事があるよ。見覚えがある。君、覚えてないかい? 確かあの時、よその家の子がお前にくっついて来ちゃったんだよ。ほら、お母さんが『昴ちゃんにこんな可愛い兄弟がいたら良いわねえ。うちの子に欲しいわ』って君に言って……。君、すごくびっくりしてたじゃないか」「言われてみれば……そんな事があったような──そうだ。確か……売店に行ったら知らない子に洋服を掴まれて離れてくれなくなったんじゃなかったかなあ」「もしかして、それチビ助だったりして?」 そう言う室長にみんなで『まさかねえー』とハモる。父さんは画面をじぃーっと見つめてた。「あ! いやーどうやらそのまさからしいなあ。なまえちゃん、ちょっとだけ戻してくれるかい? 今、映っていたよ。ほら、ここだ」「ああー! 本当だあ。ほら、ここにぃ。昴っぽい子がいるぅ! ひゃー鳥肌立ったー! スッゲー」 そこにいた全員が驚きわーわーと大騒ぎになった。そりゃあ、そうだろう。そんな偶然、すご過ぎる。まさに、運命を感じる。*お好きな地名でお読み下さい。
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