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「ふーーん」「よし、どうした?」 兄貴が彼女の隣に腰を下ろした。「ほら、これ」 彼女にアルバムを差し出す。「何? これ」「お前、お母さんの事、覚えていないんでしょう? 写真も無いって。前に来た秋月くんのお姉さんが言ってたから。あの時、本当はこっち渡したかったんだけど。お前に内緒にしてた事が沢山あったからさ。それはお前が赤ちゃんの時からのやつ。お前の写真、まだまだあるよ」 彼女はアルバムと兄貴を交互に見る。「あの……どうして?」「どうしてって?」「よしは……僕を嫌っているでしょう? 子供の頃からずっと」「僕が、いつそんな事を言った?」 その返事に、彼女は片眉を上げ唇を尖らせて不服そうにもごもご返した。「言わないけどぉ……さっきもバカって言ってたしぃ」「さっきのあれか……さっきのは、八つ当たりだよ」「八つ当たり?」「良いだろ。たまには妹に少し位甘えたり、八つ当たっても」「い、いいけどぉ……でも、よしはさ、ずっと僕をシカトして無視してたじゃん」「ふっ、お前。案外バカだね」「何で?」 膨れた彼女に兄貴が続ける。「確かに、僕は秋月くんみたいにお前にかまわなかったし、遊ばなかったし、無視してた」「ほら、よしだって自分で認めてんじゃん。本当の事言って、何でバカよ?」「そうじゃない。僕が言うのはさ。そこじゃないよ」 兄貴が彼女の膝からアルバムを取りペラペラとめくる。「だって僕がお前にかまわなくなったのは、東京に来てからだろう?」「そうだっけ?」 後ろ頭を掻きながら彼女が、首を傾げる。「ふーん、お前は覚えていないんだな。ともかく、お前は忘れてるけど昔は違ったんだよ。ちなみにお父さんもお前が大好きだった。お父さんなんか認知症のせいか、いつもお母さんとお前を間違えてさ。お前を、お母さんの名前で呼ぶから、ちょっとハラハラしたよ。でも、大好きなお母さんにそれだけ似てるお前を、嫌いな訳無いじゃん」
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