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彼女は『着物より、この方が僕らしい。最期だから、僕らしくおくってやるんだ』と、黒いスーツに身を包み男装にした。そうして、兄貴の代わりに淡々と喪主を務めた。「兄貴、無理か?」「ん、あいつは、通夜と葬儀に出させるだけでもギリギリだ。前回のあの女んときゃあ、出席したくねーって閉じ篭って大変だったんだ。今回は閉じ篭らないだけ上等だよ」「そうなのか……はぁあぁ。大変だったんだな。もしなんなら、オレが喪主やろうか? オレのお義父さんでもあるからな。それでも問題ないぞ?」「いや、ありがとう。大丈夫。前回も喪主やったから、流れは分かる。喪主は、僕がやるよ」 捜査室のメンバーや仲間内から手伝いも来たので、人手は足りた。 弔問客や出席者はなまえの友人達や、阿久津さん達や海司の家族、商店街のみんな、日頃彼女が交流のある連中と楓さん、父さん、トメ達、兄貴の家族、お義父さんの入居してた施設の人、そして、多分お義父さんの方の、真山家の親戚達。兄貴は子供の頃会っているので面識があるが、彼女は親戚と言っても、それが初対面で誰が誰かも分からない状態だった。兄貴は親戚連中が苦手なのか、顔を見ただけで具合が悪くなり彼女は奥で休めと勧めた。兄貴はしきりに『ごめんね』と繰り返したが本当に具合が悪そうなので、阿久津先生に診てもらい兄嫁と娘についてもらって休ませた。そんなハプニングに加え、真山家の親戚の対応が大変だった。読経、焼香と喪主からの挨拶も済み通夜式を終えると彼女は、僧侶と弔問客を通夜振る舞いの席で挨拶をしながら接待をした。僧侶とほとんどの弔問客が引き上げた後も、真山家の親戚は酒を飲みながら居座り、彼女を捕まえて色々言い出した。『どうしてそんな格好しているの?』というのから始まり、淡々と涙も見せない彼女に『きみは情が無いのかねえ。日頃からそうなの?』と酔っ払った勢いで根掘り葉掘り遠慮無く質問を投げ掛けた。通夜振る舞いの席にまだ残った連中はみんな、彼女の仲間だ。みんな、次は何を言い出すのか? と言う顔で、彼女が傷付くんじゃないかと心配でハラハラしてるようだった。でも彼女が冷静に相手をしているので、みんな静観した。その内、調子に乗り口が滑らかになった彼らはとんでもない話を始めた。彼女が知らない衝撃的な事実だ。落ち着いていた彼女もさすがに、ショックから蒼白になりよろけた程だった。オレもかなり驚いたが、咄嗟に支えた。
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