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「つまり、チビ兄はお父さん子で、お父さんは具合が良かったり悪かったりだった。で、今の内にチビ兄はどっかへ連れて行ってやりたかった。うーん。そういう時、お父さんと行きたい所って言ったら──やっぱり俺だったらお父さんがもう一度行きたいって言ってた場所や会いたがってたひとに会わせる、と思うんだよねえ」「うん如月くん。俺もそう思うわ。後はあ、なんやろ……」「食べたがってたものを、食べに連れてく。とかはどうですか?」「でも、如月。それやったらテイクアウトすればええことやん?」「そうかー」「あ、温泉に療養させに連れてくとかはないかしら? ほらチビ助、聞いた事無い? よく湯治っていうでしょう?」「ああ、なるほど。休みが取れるならそれもありかもな。外泊申請はいつまで出てるって?」「んー、月曜日の夜だって。お義姉さんの話だと、よし──あ、兄貴。善晴って言うんですけど。本人も月曜日に戻ると言って、出掛けたらしいです」「え? 月曜? 仕事は?」「ああ、仕事は主に在宅で出来る仕事だから。よしは僕以上に人見知りが激しくて。普通にお勤めは、多分無理だからね」「ああ、小笠原さんみたいな感じかあ」「何、如月。俺はちゃんと勤めてるんだけど?」「いや、よしの奴はちょっと病的、かも。あれでよく結婚出来たと思う位だから」「そうなの。なら温泉の可能性も出て来たわねえ。チビ助。あと、親父さんの実家は?」「よく分かんないなあ。父の実家は結構大きい家ではあるっぽいんですけどねぇ。今は、僕達の祖母しづばあちゃんの姉だか、妹だったかな? ちょっと曖昧ですけど。そのひと本人だったか、そのひとの子供だったか……そこも、やっぱり曖昧なんだけど。そういう感じの親戚のひとが、おさめてるみたいです。一時は、親父が後次ぐって話だったようなんですがぁ。結局、実家を出たので。どういう経緯で親父が実家を出る事になったとかは、僕には分かんないです」「じゃあ、行き来なかったの?」「ん、そうなの。小笠原さん。僕は、交流全くなかった。兄貴なら何か知っていると思うけど。兄貴は親父に連れられて、向こうにも訪ねて行ってた……ような気がする。その辺もまた曖昧で、はっきりは言えないですけど。そもそも親父も兄貴も家で、実家の話なんかしなかったし……。ただ二人が実家に行くと、あのひと──母の機嫌が超悪くなったんで。それで判断してたんですよ。まさに鬼婆かキチガイかって位に怒り捲るんで。[ああ二人が実家に出掛けたんだろう]ってね」「え? お父さんの実家だろうー? チビ、行った事無いの?」「ない。当主にも親戚にも、誰にも会った事無い。顔も知らん。憶測だけど兄貴と違って僕は、あっちの人達に、認められて無かったんじゃないかなあ。まあ、家でも認められてなかったけどさ。だからね、向こうでも僕の存在そのものが、丸無視されてんじゃないかと思うんだよねぇ。ふっ、驚くよね。変な家だろ? ふふ。如月さん家みたいに普通の家じゃないの。そういう家も、世の中あるんだよ」「ご、ごめん」「いいよ。大丈夫。んー場所か。行った事はないけど……真山家の墓、それと元居た田舎の街、その位しか思い付く所もないな。僕は家族って言っても幽霊家族みたいなもんで居ないも同然の、はみ出しもんだったから本当に何も知らないんだよね。お恥ずかしい話だけど」 そう言ってため息をついた。「しょうがねえよ。なまえのせいじゃねーし。気にすんな。真山の墓は都内だったな。取りあえず、墓と兄貴の家と介護施設の親父さんの部屋行ってみるか。何か手掛かりがあるかも知れねーし」「そうねえ。ならアンタ達で介護施設行きなさい。藤守と如月は、墓と兄貴の家行って。私は前にいた街の駐在に問い合わせ掛けるわ」「みなさん。お手数掛けてすみません」 彼女は立ち上がりペコペコと頭を下げた。
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