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「お義兄さん、何かあったのか?」「うん。親父と二人していなくなったっぽい。さっき義姉さんに電話があったらしい。兄貴、取り乱してさその内泣き出したって。しきりに『お父さんが。お父さんが』そう言って、それ以外の事は要領を得ない状態だったって言うんだ。その内電話が切れて、後は何度掛けても通じないみたい。介護施設の担当さんに聞いた話じゃ、親父の認知症の方は相変わらずで正気に戻る事もあったけど、最近は体の……肝機能とか内臓の方の調子がね、良かったり悪かったり波があるんで、医者にかかっていたんだって。そんな状態だから、外泊は心配だと伝えたけど。『どうしても連れて行きたい所がある』って兄貴が無理に押し切ったらしい。担当さんが一応『どこへ行くのか』訊ねてみたけど答えなかったって。はあぁ。参った。どこ行ったんだ? 僕に当てなんか無いぞ。兄貴との交流なんてなかったし、実家の事なんか、昔から僕は蚊帳の外。何かあっても教えてもらえないのが常で、ほとんど知らない、分からない状態だったのに。一体何が、あったのか……。んー、取り乱して泣いたってなると、やっぱりなんかあったんだよなあ。もしかして、ちょっと目を離した隙に徘徊して消えた、とか? でもなあ、それなら泣かないかな……。もっと最悪? まさかぁ──親父が死んだ、とか? それなら、兄貴はガキの頃から親父大好き男だったから、おかしくなるだろうなあ……」「え? 死んだってチビ助父が?」「うーーんー。分かんないけど──そう考えると辻褄が合うのかなぁって。ま、ただのカンです。でも、これは一刻も早く見つけないと。だけどぉ……。あーあー、困ったな。どうしよう。探すって言っても、どこを探せば良いんだろう……」 彼女は頭を抱え『うーん困った。困った』と唸りながら最善策が無いかを必死に考えてる。少なからず動揺しているのか、まるでそうすればアイディアが浮かびでもするかのように、伏せた机に頭をゴンゴンぶつけ始めた。「おい、おい。なまえ。落ち着け。頭、やめろ。あーあ。おでこ真っ赤だ」 彼女はおろおろした様子で、それどころじゃなさそうだ。「昴ぅ、どうしよう? どこ探せば良い?」「チビ助、少し落ち着きなさい。小笠原、兄貴の車が施設からのルートで、Nシステムに映ってないか照会して」「今やってる。チビ、俺達も協力するから、しっかり」「明智、該当しそうな事故、その他無いか、各所に問い合わせて」「はい」「チビ助、よーく考えてここは! って場所はひとつも無い?」「はずれても良いよって、手あたり次第言うてみい」「うーーん」
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