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● ○ ● ○ 今夜も夕食は二人でと思っていたが、もう予約をしてあるらしい。父さんのポケットマネーから『みんなで楽しむ足しにして欲しい。うちの娘は食べるのも飲むのも好きだから美味しいものを食べさせてやってくれると嬉しいんだが』と言ってお小遣いをもらったんで、今夜はオレの誕生日と結婚一周年のお祝いをしてくれるらしい。室長が教えてくれた。彼女は喜んでさっそく父さんにお礼の電話を入れてた。そんなワケで夕食は宴会になった。「すぅ、嬉しいね。みんながお祝いしてくれてさ」「だな」 彼女はよく笑い楽しそうに語らい、そしてよく食べよく飲んだ。「あ? なまえ? 眠いのか?」 隣でうとうとしてる彼女に声を掛ける。「ん、眠い……でも、今日も温泉入りたい……」「ふふ。もうほとんど寝ちゃってるな」 そう笑うと、彼女が頭をふるふると振った。「むぅー寝なーーいぞぉー! 温泉、入るぅぅ!」 勢い良くいきなり立ち上がりよろけ転ぶ。支え膝の上に抱える。「わ、危ねー。お前な、酔ってるんだからいきなり動かないの」「だからねー、すぅ。温泉入るのぉ」 膝の上でばたばたする。「でも、眠いんだろ? 今にも寝ちゃいそうだぞ。無理しないで寝ろ。ほら、いい子、いい子」 彼女の頭を胸に引き寄せゆっくり頭や頬を撫でる。彼女は寝ちゃいそうになりながらまだ『温泉』と言ってる。「ふふ。分かった。一回眠って、目が覚めたら温泉入ろう。部屋の露天ならいつでも入れる。もし起きなかったら起こすから。安心して眠りな。な?」「ん、やくそ……」 すでにぎりぎりだった彼女は言い終わる前に眠ってしまった。「何だ。チビは寝ちゃったのか。今夜はずいぶん大人しくころんと寝たな」「あ、明智さん。ええ。疲れたのかも知れません。あの、寝かせてやりたいんで、先いいですか?」「ああ。かまわないと思うぞ。ボスは──席外してるのか。なら俺から伝えとくよ」 そんな会話をしていると、席を立ってた室長と小野瀬さんが戻って来た。「あ? チビ助、寝ちまったか?」「ええ、今まで頑張ってたんですけど。限界が来たみたいで」「あー間に合わなかったかぁ。残念。でもおチビちゃん、気持ち良さそうに寝てるね」「じゃあよ、昴。これ持って行ってチビ助が目、覚ましたら食わせてやれよ」 そう言ってビニール袋をくれた。さっき、彼女が酔って暑かったみたいで、アイスクリームを食べたがって室長と小野瀬さんにねだった。で、二人は買いに行ってくれたんだ。「ありがとうございます。いただきます」 オレが礼を言うと、室長が自分の後ろ頭を撫でながらぼやく。「何かよ。こっちの建物の売店、今日は急に早じまいなんだってよ」 小野瀬さんが補足する。「冷蔵の棚庫かなんかが故障したそうで、水漏れ起こしてるとか何とか」「別館の方に行けって言うんで、急いだんだけど間に合わなかったな」 室長が眠る彼女の顔を見てちょっと残念そうに言った。まあ、間に合えばきっと喜んで旨そうに食ったに違いない。それなら行った甲斐もある。見られないとなれば残念な気持ちも分かる。「起きたら食べさせます」「もう部屋に行くか?」「ええ、はい。すみませんけど」「かまわねえよ。じゃあ、また明日な」「なんやもう、行くのん? ああ。お嬢寝てしまったんや。もっと早よう来るんやった。また明日な。明日は大阪やで? 楽しみにしてな。おやすみ」「あ? 藤守、大阪に行くのか?」「近いし旨いもんもあるしな。お嬢が喜ぶかと思うて。もしかして予定ある?」「いや、ねえよ。じゃあ楽しみにしてる。おやすみ」「おやすみ。昴くん。おチビちゃんによろしくね」 挨拶をして彼女を抱えて部屋に向かった。
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