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オレは気を落ち着けると、長椅子に座り直し宣言するように言った。「そうだ。本来の目的を忘れる所だった。オレはお前らと言い合ってる暇はねー。この旅行はあいつを、飛び切り楽しませてやろうと計画したんだ。あいつが笑顔でいるにはいざこざは一切NGだ。揉めるとあいつ、ぜってー気にするからな。だから不服ではあるが、揉め事はこれで終わり。お前らもあんまり邪魔するなよ? いいか? オレ達は結婚一周年の記念旅行で、京都デートしに来たんだからな! それが最優先。ついて来たのはお前達の勝手なんだから、最低限のプライベートタイムは邪魔してくれるな。あいつだって旅行、楽しみにしてたんだから。分かったな」 なまえを引き合いに出しそう言うと、みんな『了解』と言った。本当は独り占めしたかったが、こうなっては仕方ない。あいつの笑顔の為に多少我慢する事にした。 それから暫くすると奥から、履き慣れないぽっくりを気にしながらなまえが来て京言葉で言った。「あんさん。たんとお待たせしてかんにんどすえ。どうどすか? うち、似合ってる?」「うん。すっごく可愛いぞ。京言葉、教わったのか?」「ええ。そうどすえ。変──うわっ! え? な、なんでぇ?」 言葉の途中でオレを見て、いる筈の無い連中の存在に驚き、状況が把握出来ずに目をパチパチと瞬いた。「だよな。そりゃあ、驚く──」「わー、可愛いね。よく似合ってるよ。なまえちゃん」「わ、そら、バカ。抱き付こうとするなっ! オレの女房に何すんだ!」 そらを阻止していると、黒澤が写真を取り出す。彼女は呆気に取られてぽかんと固まったままだ。奥から名前を呼ばれ、ハッとしてオレに聞いた。「あ、いけない。えっとね、中で撮影をしますか? それとも先に散策しますか? って聞かれたの」「ああ、そうなのか。お前、どっちがいい?」「えっと、着崩れない内に、中で撮ったらって思ってたんだけどぉ。あのぉ──なんでいるのか分からないけど、みんなはどうするの?」「こんなの、予定外だから予約してねーしな」 そう言うと、室長が『任せとけ』と何やら交渉に行った。結局、ぞろぞろみんなで一緒に中で写真撮影。その後、習った祇園小唄を踊ったり、ポーズを付けたりしながらプロモーションムービーを撮影し、オレ達は大人しく見学した。舞子さん姿の彼女は可憐で可愛くて、いつもの如く踊りも上手で見惚れた。「ねえ、ねえ、一柳さん。これダビングして下さいよー。チビ、可愛過ぎ。俺達も欲しい」「ああ? やだねぇ。こんなに可愛い舞子さんのなまえもオレのもんだし、ムービーもオレのお宝コレクションだしなー。お前らにやってヘンなことに使われると嫌だしなー」「え? 変な? それはやっぱりあれですよね?」「そう、使いそうだろう? 如月、多少お前もやりそうな気がするが、特に藤守兄弟なんか、危ねーだろ」「確かに、おかずにし捲りそうだなー。ははは……」「だろう? そうすっと、なまえがもし、それを知ったら、気持ち悪い思いをして可哀そうだろ? だから、ダメだな」「はぁー残念」「バカ。お前もひとの女房にかまってないで、自分の相手探せ。それが、健全っていうもんだ」「健全かー。そうですよねー。俺も誰か探そう」「そうそう、お前まだ若いし幾らでも出会いがあるよ。がんばれ」「そうですよね。俺頑張ります」(よし! お邪魔、一人排除成功。みんなが如月みたいに、簡単に行けばいいのに。とにかく、手、出されないように気を付けないと)
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