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でも彼女は意外な対応だった。オレの機嫌の悪さに気付いたのかも知れない。『ぷっ』と噴出し笑った。「ふふふ。この前は確か鬼嫁でぇ、今夜は魔女か妖怪かあ。なかなか人間になれないねぇ。じゃあー、うちのすぅくんはかわいそうだねぇ。気が付かないで人間以外の嫁、めとっちゃったんだぁ。あらあら、それはちょっと気の毒。ふふ。早く人間になれると良いんだけどぉ? あ、実は狸か狐かも知れないよ? 一柳の若奥様が狸か狐だったらどうするぅ? ふふ……こほ、こほん、コーン、コーン。あ、これは大変だー、変化が解けるぅ。尻尾が出て来ない内に帰らなきゃー。それではみなさま、化け狐は、お先に失礼致しますわ。ごめんあさーせ。ごきげんよう。おほほほ」 おどけて言うと、タッタか行ってしまう。「あ、待て待て。オレも行くよ。ひとりじゃ夜道、危ねーって」 慌てて追うと足を止めず振り向いて『うふふふ』と笑いながら言った。「あーらー、人間じゃないもーん、狐だもーん。夜道もへーきよぉ」「平気じゃねーって。お前、タッタか行くなよ」 オレがちょっと早足になると、彼女はいたずらっ子みたいに『へへへ』と笑い『逃げろー』と駆け出した。「あ、ちょっと? 何で逃げるんだよ。なまえ」「んー狐は動物だから、追われれば逃げるんだよーん」「だから、危ねーって。待て。このいたずらっ子」「待てと言われて待つ犯人と、狐は多分、いなーい。きゃーあはは」 はしゃぎ駆けて行く彼女を追うオレ。その後ろで『あーあ、バカだな、お前は。狐、狐と連呼してたし、アレは結構気にしたな』と言う室長の声がして『だねぇ。如月君っていつもタイミング、悪いよねぇ』と小野瀬さん。『かわいそうに。疲れてる時に気を使わせて。本当は、そんなの言われたくないと思う』『ほんまや』小笠原と藤守が同意し『普段から、一言多いと注意してるだろう。かわいそうだぞ。お前は──』とかなんとか、明智さんの咎める声が聞こえた。 ● ○ ● ○「掴まえたー!」「わ、あっ」「転ぶ、転ぶ。やっぱ危ねー」「ごめーん。足がもつれた。下駄履き慣れないから、ちょっと疲れたかなあ」「そうだなあ。多分それだけじゃなくて、疲れも溜まってるんだろ。もうちょっとゆっくりさせてやりたいんだけどなあ。なかなかなあ。ごめんな」「大丈夫ぅ。ダーリンがぎゅってしてくれたら、なおるから」「そっか。じゃあいっぱいぎゅっとしないとなあ。よし、おんぶしてやる。ほら」「いいの?」「いいよ。さーどうぞ。奥様」 彼女の前に背中を向け屈む。
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