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階段を降り始め半ばに差し掛かる所で、彼女はため息をついた。どうやら、疲れたらしい。「疲れたか?」「うん、普段ががさつだからねぇ。ねこかぶりも楽じゃないわぁ。ふふっ」 ちょっと自虐的に笑った。「別にがさつじゃねーよ。オレの為にありがとな。奥さん」「いいんですよ。愛する旦那さまのためならね。この位、お安い御用ですわよ。おほほほ」 おどけて言う彼女の頭を撫で『ふふっ』と笑いながら返した。「なら、若奥様の愛する旦那さまが、帰ったら美味しいお茶を入れてやるよ」「あら、それは嬉しいご褒美ですこと。きっと疲れも吹き飛んでしまうわねえ。ふふふ」 二人で笑い、並んで階段を下りる。みんなもオレ達の前や後ろにいて、やっぱりゆっくりとついて来る。ゆっくり穏やかな時間だった。 ──と、その穏やかさをぶち壊すように如月が余計な事を言い出した。「しっかし、チビもすっごい化けっぷりだよねー。普段は口が悪いのにさー、女は怖いな。わたくしとか言っちゃって。いつもは僕だの、俺だの言ってんのにさー。声もいつもより1オクターブ高かったよねー。その化けっぷりには、恐れ入るよ。魔女か、妖怪レベルかもねー。妖怪ねこかぶりー! なーんてね」「如月、お前な。そんな事、気疲れしてる今わざわざ言わなくても良いだろうが」 如月の言葉を聞き、思わずオレは文句を言った。彼女も笑顔がスッと消えて、眉根を寄せ表情が曇った。(あ、これは気にしたな。つーかもしかしたら、怒ったかな? 無理ねーか)「魔女か妖怪?」 彼女が、聞き返す。「そんな感じじゃない? 怖いよねー。くわばら、くわばら」 あろうことか、さらにそんな事を言いやがった。これには、オレのがムッと来た。「ああ? 如月。お前酔ってんのか? それともケンカでも売ってんのか? 何なんだ。お前は。いつもいつも! 失礼だろ。オレの女房をバカにすんな」 言う内にどんどん腹が立って来て、ぶん殴りたくなって来る。
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