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「あっっ!」 心配した通り、階段を踏み外した。落ちる前に後ろから抱き上げた。脇にそのまま連れて来てケガがないか確かめる。「痛いとこねーか?」「う、うん。大丈夫。ありがと」「バカ、危ねーって言ったろ。あー間に合って良かった」 思わず抱きしめると、珍しく彼女がぎゅっと抱き付き返して来る。顔を覗くと頬が強張りちょっと引きつってた。「びっくりしたか? 危なかったもんなあ」 彼女はこくこく頷いた。「さっき下見たら、結構階段、すごくて。落っこちたらヤバかったと思って」「うん、ここの石段は段数あるからな。下手したら打ち所悪くて死んじゃうぞ。お前はしっかりしてそうで、興奮すると注意力散漫になって、ドジるからなあ。危ねーったらねーな」「ごめーん」「オレが居て良かっただろ?」「うん。ダーリン、助けてくれてありがと。頼もし……大好き」「オレも。ドジななまえも、大好きだ」 脇の人目に付きにくい所でラブラブムードが盛り上がり良い雰囲気になった所でうっせー声が響いた。「あーあー、いないと思ったらこんな所でイチャついてるー」 慌ててパッと離れたが、これまたでかい声で言ったもんで、周りにいた人達の注目を集めた。ここら辺でも一柳は多少名が知れていてオレを見知った人達も少なくない。こっちへ来た日にごく近くのご近所さんにだけは挨拶をしているが、少し距離がある所などはさすがにまわっていない。「おや、あれは一柳の坊ちゃんじゃないか。いらしてたとは知らなかった」「そういえば、奥様連れて来てるとか、噂は聞いたねえ」「あの、隣のがそうか?」「そうよ。うちにご挨拶にお見えになったもの」「うちには来なかったぞ」 ──とか、色々言ってるのが聞こえて来た。中には少し不満気な声もあって、聞こえたのだろう。彼女が一瞬焦った顔になった。だが、それは一瞬の事だった。すぐに気持ちを切り替えたようだ。彼女はにこりと品の良い優し気な笑顔になると行動に移った。「こんばんは。ごあいさつが遅れまして、失礼致しました。お初にお目にかかります。わたくし一柳の家内のなまえと申します。どうぞ、お見知り置き下さいませ。今後とも主人共々、よろしくお願い致します」 来なかったと不満を漏らしていた人に一番先に、丁重に挨拶した。その後も声を掛けて来た者にも、感じ好く挨拶をし受け答え会話を交わした。そして、頃合いをみて『それでは、ごめんくださいませ』と会釈をし戻って来た。「みなさん、そろそろ帰りましょうか?」 まだ人目があるため若奥様然として笑顔で、後ろに来て待っていたみんなにそう言うと『あなた』と声を掛け、オレの腕に手を添えて促した。「そうだな。失礼しよう。ではお先に」 オレがご近所の方々に会釈すると、彼女も合わせて少し控え目に頭を下げた。申し分ない。なんだか気分が良い。(可愛くて、頑張り屋で、機転が利いて臨機応変に行動出来る。最高だ。世界中に自慢したいぜ)
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