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「うん、だって……なあ?」 ひとりの子が、他の二人に同意を求めるみたいに声を掛けた。二人が声を合わせ答える。「俺たち、バカだもーん」「あ? バカじゃないだろう」 彼女が言うと口々に答えが返る。「だって、母ちゃんがバカって言うよ」「うん、俺も言われるー。あとさ──」「学校の女達も言う」 それを思い出したのか不服そうに騒ぎ出した。「えばってんだよなー」 ゆうとが言うとよしきが頷く。「ああ、あやか達なあ」「あやか? クラスの子?」 彼女が聞くと別の女の子が説明し始める。「あのね、あのねー、あいりちゃんと、れにちゃんと、あやかちゃんがねぇ、仲良しなの」「あいつらみんな、隣街だから仲良いんだ」「いっつもバカとか頭、悪いって言うんだよなー」 しょうたが言うと、男の子達がイヤそうに溢す。 それを聞いた彼女は『そのバカって言い方は、どっちが近い?』と『頭悪ーい。バカねぇ』と二回言い方を変えて言った。一回目は軽くからかうみたいに。二回目は本当に馬鹿にしたように。するとみんなが『二回目ー』と声を揃える。ゆうとが『母ちゃんは一回目ー』と付け足すと彼女は『ふぅーん。そっかー』と考えてからみんなに言った。「言葉っていうのは同じ言葉でも、言い方で意味がちがう時があるの。分かる? 今、どう感じた? なんとなく違う感じしたろう? 同じ[バカ]って言うんでも、愛情──うーんとぉ、大好きなんだけど、からかう時や、ちゃんとして欲しくて[バカ]って言っちゃう時がある。[バカ]とは言ってるけど、本当は大好きなの。母ちゃん達が言う[バカ]は一回目なら、本当は大好きだけど言っちゃってる方な。で、二回目のは、いじわるの[バカ]。こっちは、悪口だ。悪口は言われるとイヤな気持ちになるよな。みんなはどうだ?」 子供達に聞くと『なるー』と返事が返る。「ん、だよな。あのさ、自分がイヤだって思う事は、誰かにやらない方がいいよ。じゃないと、イヤな気分の人だらけになるだろう? それにさ、次に自分が同じイヤな事をされても、今度は文句は言えないぞ。自分もやったんだからな。分かるか?」 みんなが頷く。
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