「おーい。二人とも、お茶を入れて来たから少し休憩したらどうだ?」
縁側に座り、ありがたくお茶にした。縁側に、二人で腰掛けてお茶を飲む。
彼女は、オレの隣で干し終わった洗濯物を見て、ふっと目を細めた。
* 「ん? どうした?」
「こういうのも良いなあって。ほら。家って高層マンションだから、表には干せないでしょう? なんか新鮮。あのおっきいのがすぅので、隣のちょっと小さいTシャツが僕の。青空の下で、並んではためいて──ふふ。幸せの象徴みたい」
「日常の中の幸せ、か。そうだな。そんな感じするな」
お茶をするひと時、彼女がよく言う日常の幸せ──オレの大事な時間を、かみしめた。
● ○ ● ○
合宿の経過を振り返る。今回、自分達で家事を分担してやりながら訓練をこなして行く事にした。大変な面もあったが、来た日に彼女から『大人数で押し掛けてツルさんやカメさんに任せ切りなんてやだ。自分達でやって出来ない所をお願いしよう?』と提案された。思うに、ツルとカメがちょっと高齢なのと、こちらの人数が多いので負担になるのを心配したんだろう。
彼女らしい気配り。オレはその気持ちをくむ事にしたんだ。日中、訓練の間に手が足らない部分をツルとカメに頼んだ。
やる事は多くなったが、かえって協力する事でチームワークはより良くなった。結果的には良い傾向になったワケだ。
宿泊所が使用出来なくなるハプニングも起きたが、どうにか乗り切る事が出来た。
オレが、ここまでの規模のリーダーを任されるのは、今回のプロジェクトがはじめての事だ。やる気や自信は勿論あるものの、正直に本音を言えばプレッシャーや一抹の不安もそれなりにあった。
だが今回、全員で合宿をやって[オレ達なら大丈夫だ]と実感した。彼女のサポート、みんなのサポートがあり、それぞれやる気もある。
(長丁場だし、対象のマルタイも多い。簡単な任務じゃねー。けど、必ず成功させる。みんなで協力して、無事に守り切りる。そうして終わった時にはみんなで晴れやかな顔でお疲れさんと、笑い合うんだ)
最終日の挨拶をしながら、オレは改めてそう思っていた──。
*Tシャツの素材は
素材屋・HP素材のおすそわけ。さんよりお借りしました。
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