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● ○ ● ○ 彼女は中型免許を持っている。あれば、何かの時潰しが利くかもと取ったらしい。「人数が多いから事前にマイクロバスでも予約する? 先割あるとこ探してみるよ。その方が、いいっしょ」「マイクロバス?」「うん。僕中型免許持ってるから、運転出来るし。電車と複数台レンタカー借りるよりはお得なんじゃん。経費削減になるよ」 と、いうことで警視庁集合で行くことにした。当日の朝、集合するなり、あいさつもかわさず如月が第一声で言う。「えー、チビが運転するのー?」「なんスか? 如月さん、自分の運転じゃ不服スか?」 言いながら如月をジロっとひと睨み。「わ、え?」 如月が焦る。小笠原がボソッと言う。「如月、ヤンキースイッチ押したね」「ひぃーふ、不服じゃありません」「心配いらへん。お嬢は如月よりはるかに運転、上手いさかい」「それは言えてるな」「そうよ。チビ助と如月とじゃ比べものにならないわよ。この子はバイクも車も上手よ」 藤守と明智さん、室長が言うとみんなが大きく頷く。「そう、ブレーキとか上手。チビの運転で酔った事ない」「如月君はトラクターならうまいんじゃない?」「うっ、小野瀬さんまで。なんか、みんなひどいですよー。俺だって傷付きます」 みんなで笑い、いい雰囲気で東京を出発した。 ● ○ ● ○ 今回使用する訓練所の近くには、宿泊施設がない。従って泊まる予定の宿と訓練所は、少し離れている。合宿が多いこの時期でも、そういう事情のせいでこの訓練所は使用予約が取り易い。 だが、その立地的な不便さをクリアさえすればここは射撃訓練所、グランド、道場等の設備もあるので訓練には、丁度良い。 宿には夕方行く事にして、訓練所でスケジュールをこなす。 彼女はここまでの運転をし、ここに来てからも負けん気を発揮して男連中と同じように訓練をこなした。その上で、オレのサポートも怠らずにパキパキと動き回った。彼女の働きにオレはかなり助けられている。 もうそろそろ、今日の訓練も終わりという頃、彼女が慌てて言いに来た。 「あの、トラブル発生です」「どうした?」「予約してた宿から連絡がありまして、何かあったようで急ですが、営業出来なくなったと──」「あ? じゃあ泊まる宿が無いのか?」「ええ、そうなんです。……すみません。もっと早くに確認するべきでした」「いや、お前のせいじゃねー。確認しなかったのはオレも一緒だ。代わりの宿は当たってみたのか?」「はい。ですが、夏休みですし。何か大きな花火大会があるそうで、どこも満室でした」「うーん、タイミングが悪かったんだな。どうするかな。もう少し離れた場所で探すか……」 考えていると彼女が地図を持って来て広げた。「あの、訓練所はここですよね? で、宿はここ。こっち側にばっかり気を取られてたので、気が付くのが遅れましたが──反対側のこちらに行ったら、確かここら辺に一柳の別荘が、ありませんでしたか?」「ああ。そういえば、こっちに行ったら別荘の近くだな」「あの、そこに泊まればと思うのですが。ご飯等は明智さんにも手伝ってもらったら何とかなるんじゃないでしょうか? ──どうでしょう?」「そうだな。緊急事態だし、そうするか。じゃあツルとカメに連絡を入れておく」「はい、お願いします。あのぉ。僕、一度先に行って買い出しとか食事の準備しましょうか? ツルさんとカメさんだけでこれだけの人数の支度は大変ですよ。終わる頃に、迎えに来ますから」「うん、それはそうだな。かなりの人数だからな。うーん。しかし、お前が二度手間だなあ──よし。少し早いが、スケジュールを変更してみんなで別荘に向かおう。こういう時は協力し合うのが一番だ」「はい」「ところでなまえ、大丈夫だ。そう緊張しなくても何とかなるよ」「え?」「お前、ずっと敬語になってる。お前がどもったり敬語になる時は緊張してるか、焦った時だろ。大丈夫だ。少し、リラックスしろ。初日からそんなに気を張るともたないぞ」「う、うん」「でも、お前はやっぱり優秀だな。助かるよ。じゃあオレはとりあえず、室長達に現状を伝えて来る」 室長達に話しその日の訓練を切り上げた。
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