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● ○ ● ○ 彼女を起こして食事にする。ちょっとずつゆっくりだけど、食べられているみたいだ。いつものすっごく旨そうな顔は見られなかったけど。ふんわり静かに微笑み『美味しいです。美味しいのをありがとうございます』と言った。静かな食卓だったけれど、嫌な雰囲気ではない。どこかほっと寛いでる自分を感じて、悪くなかった。「なまえ、いいものがあるぞ。じゃーん」 ちょっとおどけて後ろに隠したものを出す。「食後のデザートだ。桃とバナナのスムージーだ」 彼女は『わあー』っと言いながら目を輝かせた。「熱だから冷たいの欲しいかなと思ってな。なまえは、桃もバナナも好きだもんな。どうぞ、召し上がれ」「うはぁー。おいひーい」 いつもの砕けた口調になり、とろけそうな顔になった。気に入ったらしい。久しぶりの自然なそのキラキラした笑顔につい、見惚れてしまう。視線に気付いた彼女はにこにこ顔を引っ込めて恥ずかしそうな顔になり『そ、そんなに見ないで下さい』と俯きがちになった。(あー失敗した。せっかく、良い感じだったのに。よし) オレは用意しといたものを彼女に差し出す。「なまえ、はい」「これは?」「ん? 糸電話。知らない?」「知ってます。あ、これ絵が書いてある。可愛い」「ん、こっちのチビなまえが喋ってる方が話す用。で、こっちチビなまえが耳に手やって聞いてるのが聞く用。お前のはピンクのコップ。オレのは青」「わぁ、そっちもチビ昴が書いてある。可愛い。ふふ」 彼女が笑った事に胸の中で(よしっ!)とガッツポーズをした。「これで、ちょっとお話しよう」 ぴんと糸が張れるようにキッチンの方に行く。顔、見ると緊張するみたいだから、苦肉の策だ。「もしもし、なまえ。聞こえる?」「はい。聞こえます」「へぇー。案外聞こえるのな。はじめてやったんだ」「僕も、はじめて。ふふ、なんか楽しい」「ん、だな。じゃあ、ちょっと質問して良い?」「はい。どうぞ」「なまえ、離れてる間にオレの事、いやになった?」「えっ?」「正直に言ってくれ。なまえの本当の気持ち、知りたい」「ち、違います! ご、ご、誤解です」「でも、ずーっと敬語だし、目も合わせないよな?」「そ、それはぁ。ええっとぉ」 彼女が口ごもる。「もしそうなら、誤魔化さず正直に教えてくれ」「ほ、本当に違うんです。む、むしろ、逆と言うかぁ」「逆?」「はい。あの、あまりにばかみたいだから言いたくないんです。きっと呆れられます」「教えて。呆れない。ぜってー呆れない。あと、笑わないちゃんと真剣に聞く。約束する」「あのー、本当に今更で、自分でも驚いているんですが」 そうことわり置いて彼女は本当の気持ちを教えてくれた。
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