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● ○ ● ○「いやーーーっ」「そんな子供みたいに。なまえくん、怖い病気だったら困るでしょう? うちには機器がないから詳しく検査出来ないのよ。ね?」「でもやだ。裕子ちゃんが何と言っても、やなもんはいやだー。いやぁー! いやったらいやなのぉー! やだよーだ。ぜーったいに行かないもーんだぁ!」「でもねぇ──あ、ちょっと なまえくん。 点滴中に暴れないの。おとなしくしてなきゃだめよ。液漏れしたら痛くなるわよ? それに、熱も上がっちゃうからね」 奥の病室からそんなやり取りが待合まで響いて来る。(何だ? 何か駄々をこねてんなー。大丈夫か?) 気になり行った方が良いかと足を向けると丁度、阿久津先生がため息をつきながら出て来た所だった。オレを見ると少し笑って診察室に促した。先生はカルテに何か書き込みながら病状の説明をしてくれた。「今朝、解熱剤飲んだのね? でもまだ効かない、か。えーっとお熱の原因だけれど、風邪などのウイルス性の病気なら、炎症が起こるの。でも、なまえくんには、これといった炎症反応がみられなかった。つまりは、ウイルス性の病気じゃないってこと。で、今考えられるのは心因性発熱、ストレス性高体温症。それだと解熱剤が効かないし、炎症も起こらない。発熱以外の症状としては、全身の疲労感や倦怠感、集中力の低下、後はイライラするとかなのよ。彼女に確認したら、倦怠感はこの所感じてたらしいのね。ストレス性高体温症が濃厚なんだけど……。その場合ここ数ヵ月の間に、仕事で多忙を極めて残業が続くとか、喧嘩してストレスが溜まるとか、極度に緊張するとか、慢性的に疲労とストレスが溜まった状態が続いてる場合や、いくつかのストレスが重なった状況から熱が出るんだけど。最近、そういう状況だった?」「はい。まさにその状態です」「そう。ならやっぱりストレス性高体温症の可能性が高いわね。でも、発熱をともなう病気には色々あるのよ。怖い病気のサインという可能性も無い事はない。またねぇ、炎症のない場合は判断がつき難いのよねぇ。だからきちんと検査をして欲しいんだけど。うちには設備が無くて。ほら、小さい診療所でしょ。うち。ふふ。んー困ったわねぇ。よその病院は嫌だってきかないし」「さっきあいつ、それでだだこねてたんですか?」「そうなの。病院嫌いが悪化したわねぇ。前に変な先生に当たってね。ドクターハラスメント的にひどい事言われた事もあるし、*この前の一件もあるし、仕方ないと言えば仕方ないんだけど。あの嫌がり方は強烈ね。まるで子供の時に戻ったみたいだったわ。あの子もやっぱり反抗期の時には、イライラしたみたいでね。親に言ったらとんでもない事になるの分かってるから、言わずに我慢してたの。でも溜まりに溜まって我慢しきれなくなって、時々ドカーンって爆発するのよ。うちや海司くんのとこで、だだこね始めて……。ふふふ。普段、小さいくせに周りに気を使って一生懸命なのをみんな知っているから、咎めはしなかったんだけどね。さっきの彼女は、その時のなまえくんと一緒だったわ。ストレスが溜まり捲っている、とみた。まあ、なまえくんのたまのわがまま位きいてあげたい。でも、検査は受けて欲しい。連れてく方法を何か考えなきゃ。ああなると、あの子頑固なのよね」 阿久津先生の言葉通り、彼女の説得は難航した。オレのいう事もきかず、いやだ、いやだと叫び捲った。 幸い彼女が午前中の最後の患者で、午後は休診日の日だった。そのためすでに他に患者さんも無く、その点では迷惑を掛けずに済んだ。ここの看護師さん達は昔から勤めている人達ばかり。皆、彼女をよく知る人達なので『あらあら、なまえちゃんが駄々っ子になちゃったわー。困ったわねぇ』と、ちょっとからかうように言いながら見守ってくれた。*詳しくは28。 アンドロイドは電気羊の夢を見る。のお話をお読みください。
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