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タクシーを捕まえようと待っていると『ごめんなさい。家、散らかってます。食糧も、何もないです』と言うので食べて行く事にする。食欲も無さそうで、食べたい物も思いつかないらしい。丈一郎に連絡を入れてみる。状況を話すと『久しぶりだなあ。来いよ。丁度、暇してたんだ。身体に優しいもん作ってやる』と言われた。 ● ○ ● ○ 丈一郎は、彼女のやつれっぷりに驚いてた。それも無理無いかも知れない。一瞬、一回り縮んだようにも思える。また、例の如く相当無理したに違いない。お疲れ様の乾杯をして状況把握の為、色々聞いてみる。「え゛? もう終わる? あの量だぞ?」「あーはい、ですから、それが後ちょっとだったんですけど。予定では今夜中には上がる筈でいたんですよねぇ。中には、責任者じゃないとダメって用件も出て来ててですね、それは済んでないんですけど。指示書に書いてありましたから、何とか間に合うように終わらせようと思ったんですけど。任せろなんて言ったのに、終わらなくてすみません」 その返事を聞いて、やつれっぷりが頷けた。オレが置いて行った指示書は、やる事を整理する意味も含めてかなり大目に書いてあった。一人で四ヵ月やそこらで上げる量じゃない。オレは自分の説明不足を悔いた。確かにあの時のオレには余裕も無かったし、喧嘩もしてコミュニケーションがうまく取れていなかった。だが、オレがもっとなまえの性格を把握して一言言って置けば、彼女はこんなにやつれる程無理しなくて済んだだろう。「すまない。無理させたな」「いや、仕事だから謝る事はないですよ」 そうは言いつつも、疲れ切った彼女はあまり会話もする元気もないのか丈一郎の料理をチビチビと静かに食べ、ほんの少しだけ飲んだ酒に酔いが回ったのか『疲れました』と呟き電池切れを起こすみたいにパタリと眠ってしまった。丈一郎が『デザート持って来るか?』と顔を出したが起きる気配もない。泥のように眠るその姿にいかに疲労困憊しているのかが、うかがい知る事が出来る。「何だ? 姫、寝ちゃったのか。料理はなんとか食えたみたいだな。姫のは、あっさりめで薄味にしてみたんだ。食えて良かったよ。にしても……。なあ、昴。こんなになるまで忙しいのか? 元々ちっこいのが、更にちこっくなってるんで驚いたよ。これじゃ身体壊すぞ? 身体壊したら元も子もない」「だな。悪りー、今夜は帰るわ。寝かせてやらねーと。また、今度ゆっくり来るよ」「ああ。お前もだけど、姫にもあんまり無理させるなよ。お前達が元気でないと心配だ。あれだ、いつでも構わないから、空いたらまた来いよ。栄養のあるもん作るから。俺に出来るのはその位だからな」 気使いに感謝して、礼を言ってタクシーに乗り込んだ。 ● ○ ● ○ 帰宅して風呂に入れるべきかちょっと考えたが、彼女を起こすのはかわいそうだ。起こさないように気をつけながらパジャマを着せ、ベッドに入れた。 室内を見て歩く。彼女はああ言ってたが、思ったような散らかり方をしてない。洗濯物が溜まり、クローゼットと箪笥が少し乱雑になっていたのと、あっちこっち埃が溜まってた位。なんというか、生活していた形跡があまりない、(もしかして、ほとんど帰ってなかったのか? 泊まり込んでやってた? ──その可能性は大いにあるな。身体大丈夫かな? プロジェクトも大事だがオレには彼女が一番大事だ。強化合宿の前後にでも二人揃ってどっかで休暇取れねーかな。寂しい思いさせたし、めいいっぱい甘えさせてやりてーな。とりあえずシャワー浴びて今夜は寝るか) ざっとシャワー浴び、暑かったので上半身裸のままベッドに潜り込む。隣の彼女の気配に癒されて眠りに引き込まれて行った。
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