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● ○ ● ○ 喧嘩中だろうが多忙を極める仕事中だろうが、どんなに悶々としていても忙しくしていても、誰の上にも平等に時は過ぎてく。 あれから、数ヵ月経つ。煩い位の蝉の声と暑すぎる気温。真夏を向かえてた。長かった初任幹部課程も無事に終え漸く日常に戻る事が出来る。結局、オレは外泊申請はしなかった。今は集中して勉強をする時だと思った。やるべき事をきちんとやり切る。それが今回の事で要らない苦労を掛けたであろうみんなにオレが示せる事だと思ったからだ。そうは言っても、心配な事は色々あった。仕事の進み具合に彼女の事。一人で四苦八苦してんじゃねーかとか、この暑さで倒れてねーかとか、もしかしてまだ怒ってんじゃねーかとか。 とりあえずメールを入れ居場所を確認した。すぐに返信が来た。まだ、捜査室で仕事中らしい。(嗚呼、早くなまえに会いてー!) そう思うと自然に足が早まった。 ● ○ ● ○「ですから、それはうちの一柳が戻り次第ご返答差し上げます! はい? ええ、もう直ぐ一柳も戻ってまいりますので。もう少々お待ち下さい。はい、はい。では失礼致します」 捜査室のドアを開けると彼女の声が聞こえて来る。何か揉めているらしい。室長がオレに気付き黙って頷くように会釈する。彼女は電話を終え疲れたようにため息をついた。「また、外務省の*ボンクラ? 今度は何て? だから、そういう時は私が変わるわよ?」「いえ、いつもの難癖に近い愚痴ですから。室長の手を煩わせる程のものじゃあありません」 そう言って室長を振り向いた彼女の顔が見えた。相当疲れた顔をしていた。顔色も良くないし、かなりやつれてた。オレに気付き目を細め『お帰りなさい』と笑うその顔にいつもの元気はかけらも無く、憔悴しきってる気がした。「昴、お帰り。詳しい事は明日聞くわ。今日の所はチビ助を連れて帰りなさい。チビ助、今日は残業はお休みしてもうあがりなさい」「いや、でも後もう少しなんですけど」「チービ、今日は帰れよ。俺、こっち終わったからさ。明日は少し余裕が出来る。こう兄ちゃんも手伝ってやるから」「そうやで? 毎日毎日朝早うから深夜まで残業してたやん。今夜位、早うお帰り」「チビ、俺もこっち片付いた。君の仕事手伝えるよ。だから、今夜は帰りなよ。君、相当疲れ溜まっているだろう?」「俺もボスやみんなの意見に賛成だ。チビ。昴のいない間、お前はすごく頑張った。たまには休息を取ってもバチは当たらないぞ。せっかく昴が戻ったんだ。二人でゆっくりしたらどうだ?」「そうよ。ほらほら、今夜は帰りなさい。ね? 昴、チビ助の事頼んだわよ」「はい。お言葉に甘えて、お先に失礼します。なまえ、帰ろう?」『んーもう少しで終わるんだけどなぁ』と渋る彼女を立たせて連れて帰った。**ボンクラ:〔もと博打(ばくち)用語で、盆の上の勝負に暗い意〕頭のはたらきがにぶく、ぼんやりしている・こと(さま)そのような人をもいう。まぬけ。
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