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「すごい。随分本格的ねえ。客も選手もいっぱいだわ。ええっとチビ助は……あーもう、全体の映像は良いから選手を映しなさいよ」「あ、これじゃない? レーシングスーツもバイクも白と赤と黒ので、赤のメットだったよね? さっき予選でこういう格好だったと思った」「27と入ったやつやろ? ああ、そうや。今、小笠原がさしたのがお嬢やで。けど、27て[元網寛人(もとづなひろと)]みたいやなあ」「誰です? その元網寛人って?」「なんや、如月。知らへんの? 元網寛人、言うたらモータースポーツ界の期待の新星や言うて注目のレーサーや。デビュー戦から華々しい成績を収めとるんやで。いっつも、元綱の綱から取った27をつけとるんや。結構人気あるんやで? でも、お嬢の事故った友達が元網寛人? 小笠原、悪いんやけどちぃと検索してみてくれへん?」「もうやってる。あった。元網寛人。昨日、交通事故に合ってる。コンビニから出て来てすぐ前の道路で子供が轢かれそうになって助けたみたい」「その、もと、づな? いいやつじゃないですか。何か、チビもやりそう。やっぱチビの友達なんじゃないですか? ほら、類は友を呼ぶっていうやつですよ」「元網──あ、思い出した! その元綱、チビ助の友達よ。間違いないわ。前にチビ助が重体になった例の怪我の時、電話で問い合わせがあった。チビ助と同じ学校の出とかって言ってたなあ。怪我したと聞いたけど本当ですか? って。容体が安定して来てる事なんかの状況を説明してねえ。そうしたら、元綱が『今、仕事で海外に来ていてどうしても帰国出来ないんだけど、せめて花を贈っても良いか』って。昴、ほら花が送られて来てたでしょ? あれよ。『もし、何かあったらすぐに知らせて下さい』ってお願いされたわ」「ああ、花が週一で届いてましたね。その人の事なら、なまえから『中学、高校が同じだったの。僕の数少ない学校の友達だよ』って聞いた。家にもよく遊びに行ってたみたいで、お姉さんとも仲が良いんだ。結婚式にも、招待したよ。結局、弟さんが仕事の関係でどうしても来られないってお姉さんだけが来てたな」「それなら尚更おチビちゃんには断れないね。というか、その元綱くんの為に、一位を狙いそうだ。無茶しないと良いんだけどねぇ」「そうですよね。無茶走りは怖い。クラッシュして事故なんて事になったら大変やで?」「でも藤守、チビのあの性格だぞ? 何だか俺にはそこはかとなく無茶しそうな気がする」「うん、俺も明智さんの意見に同意」 小笠原の言葉に『目に浮かぶようだ』と皆でため息をついた。「これ、さっきついでに調べたんだけど彼の経歴入りのインタビュー記事。ここ、これチビの事じゃない?」 藤守が覗き込み読み上げた。昔のエピソードが書かれていた。バイクは、父親のすすめでポケットバイクを幼い頃から乗ってた。バイクは好きだが、同世代の友人を作り遊んだり出来ない事が正直寂しかった。そこで元網氏は、中学二年の時に仲良くなった後輩を──多分、なまえの事だろう──バイクの世界に引きずり込んだ。それからは、楽しくて楽しくて。チーム[ツナマヨ]を作って草レースに参加したんだけど、当時の事は今でも思い出深く、27はその頃からずっと使っている。そんな内容だった。
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