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「あーすまん。切れてしもうたわ」「藤守、レースって何だ? オレ、聞いてねーぞ」「ああ、なんや今朝昴が出た直ぐ後で連絡があってな。バイク仲間が事故ってもうて、ピンチヒッターを頼まれたそうやで。その仲間のお姉さんからの電話やったらしいが、思い入れのあるレースらしくてうわごとでずっと言ってるんだけど、せめてあの子のバイクで代わりに走ってくれないか、言うて。平日でみんな断られてしまってもうなまえちゃんしか頼める人がないってな。そないに言われたらお嬢には断れんわな」「でもお前、レースって。なまえだって危ねーんじゃねーのか?」 オレが聞いた所で小笠原が、PCを見ながら思わずという風に呟く。「わ! 早い!」 その声に、みんなでわらわらと寄り画面を覗き込むと、予選の模様がアップされてた。「ちょっと? 藤守、これに本当にチビ助が出てるの?」 藤守がPCを指さして『ええ、間違いないですわ。ほら、ここに今日の日付入りで予選の模様と書いてありますわ』オレはめまいがしそうだった。それは、かなりのスピードで模擬レースの予選なんてレベルじゃなかった。「これ、すごいスピードじゃないですかあー」 如月が驚く。「これに、チビが? だってあいつは女の子だぞ?」 明智さんが信じられないという顔をする。「でも、男女混合で走るのもよくあるよね? それにおチビちゃんは喧嘩だけじゃなくて、バイクの腕前も有名だよ。ほら、前にヤンキー校に行って実演した時も、すごい人気だったって言ったろ? 憧れてるのも結構いるらしいよ」「そうなのか。でも、これは相当なスピード出てるんじゃないか?」「二百……キロ位はゆうに出ていそうだ」 桂木さんと石神が言う。「このサーキット場なら二百から三百位出るんとちゃいます? 前に三百でかっ飛んでる動画見た事あるわ」「三百キロ? だってカーブがかなりありますよね?」「いや、藤守の言う通りかも。如月見てごらん。この直線コース、結構長いよ。これならその位は出せるんじゃない? ほら、実際映ってるのも凄いスピードだ。……これ、こけたら死ぬんじゃない?」「ええぇー! 小笠原さん、怖い事言わないで下さいよー!」「確かに、縁起悪いわー。でもな、如月くん。小笠原の言うんもほんまやで? 世界的に有名な一流のレーサーでも、レース中のクラッシュで亡くなる事は結構ある」「レースではなくても、一般のバイク事故でも重大な事故になる事は多いな」 桂木さんが言うと如月が絶句した。室長が叫ぶように藤守に聞く。「それで、チビ助はどれなのよ? 映っているんでしょ?」「さっきの話じゃ、一位を競ったって事やからこれやないですか?」「わ! なんだ? この速さ。危ねえだろう。あのアホチビが。はあぁ、次から次へと心配ばっかり掛けやがって」 室長がため息をつく。その横でPCの時間表示を指さして如月が言った。「あ、本戦始まる時間じゃないですか? 小笠原さんリロードして下さい」
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