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● ○ ● ○「あれ? 何でそんな格好してんの? 今日僕ら、お休みだよ。忘れてた? ふふ。ねー、今日どうする? どっか行くぅ?」「……」「もしかして、まだ怒ってる、のかな?」「……」「ねぇ、すぅーぅ、いつまで怒ってんの? ねぇってばぁー」「……」「はぁああぁぁ。ねえ、すぅ。分かってるぅ? もう明後日には、僕ら四ヵ月も離れ離れなんだよ? 六週間と訳が違うよ? 四ヵ月だよ? 四ヵ月、だいたい十七週間? なのに、きみってばずーっと不機嫌だしぃ。今日なんか警察大学、行く前の一緒に休める貴重な一日じゃん──」 彼女の言葉を遮る。「オレは今日は出る」「え? 出るって休日返上で働くの?」「ああ、そうだ。プロジェクトが始動したばかりで、係員が二人とも休暇とかありえないだろう」「そう、なの? でも、室長が『かまわないわよ』って──」「とにかく、オレがいない間の指示書も作って置かねーと、お前、頑張るとか言ったって何して良いかも分からねーだろうが」「う、すみません。なら、僕も手伝う──」「いい! 手伝いは必要ねー。お前は予定通り、休暇を取れ。忙しくなったら、なかなか休んでもいられなくなるだろうしな。オレに遠慮はいらねー。自由に休暇を楽しめよ。オレは行くまで色々する事もある。当面、忙しい。行って来る」 向き合う事もせず『いってらっしゃい』の言葉も掛ける間も与えずに、彼女の横をすり抜けてオレは家を出た。 すれ違いざまにちらりと目の端に捉えた彼女の顔は、戸惑ったような、シュンとしたような、ちょっと悲しげな顔だった。(ちっ、またあんな顔させちまった。八つ当たりなんてよくねーよな。だいたい何でこんなにイライラするんだ? ……ちくしょう!) オレはずーっとイライラしてた。他のやつには感情を隠し普通に振る舞えても、彼女にはそれが出来ねー。オレは彼女の前だと[素]になっちまって、感情がみーんな出ちまう。ついでに[甘え]も出ちまう。(あいつ、今日の休み楽しみにしてたんだな。どうするか聞いた時の顔、そんな顔だったもんな。そりゃそうだよな。もう行くまで今日入れて二日しかねーもんなあ。……かわいそうな事した。指示書の事は本当だが、別に夜中に起きてやりゃあ済む事だしな。やっぱ、八つ当たり、だな) 考えれば考えるほど、足も気分も重くなって行く。(なら、引き返せば良い) 頭の片隅で思うのに、妙なプライドが邪魔して素直に行動出来ねー。「オレは、バカだ……はぁあぁぁぁぁ」 自分のガキくさいバカさ加減に、ため息をつきながらマンションの駐車場を後にした。
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