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そんな事を考えていたら、彼女に呼ばれた。オレが考えている内に、父さんと彼女で、写真を撮る間ほんの少しだけプライベートタイムをもらえないかとお願いしたようだ。「ほらほら、お義父さんの隣に立って。まー、ダーリンもお義父さんも素敵! さすが、イケメン親子。ふふ。もうちょっと笑顔、見せて。んーサイコ―」 何だかカメラマンの如く褒めながら写真を撮る彼女。結局、のせのせでみんなで一緒に撮りましょうという事になり、お茶を持って来てくれた人に撮ってもらった。この部屋を訪ねた時の固い雰囲気がなくなり、みんなも父さんも楽しそうに見える。「いやー、ありがとう。さあ、お茶をどうぞ」 父さんが言い、皆が掛けてお茶を飲む。「楽しい時間の後で、無粋で申し訳ないんだが。実はみんなに来てもらったのは、ちょっと問題が起こってね」 そう、父さんが切り出した。「問題? 特別対策係に関する事ですよね?」「ああ。単刀直入に言うが、昴、君の階級が問題になっているんだ」「オレの階級が?」「君は警部補だろう? 一部関係者から、国際的にも重要な案件を扱う所のリーダーが警部補と言うのはいかがなものか。せめて警視位でなければと──」「昴──じゃなくて、失礼しました。一柳警部補じゃ、不服だっていう事ですか? 能力だってあるのに、幾ら上層部の人達だって。よく知りもしない人達がそんなの、ひどいですよ。実際に、先方の王子さま達だって功績を認めたから名指しで指名して来たのでしょう? なのに、今更おかしいですよ」 彼女がちょっと興奮気味に言う。「真山巡査部長。落ち着きなさい。総監だって分かってらしゃいますよ」 石神に注意され『そ、そうですよね。すいません』と謝った。「いや、昴の能力は私も知っているし、君の気持ちも分かる。ただ、階級の件が間違っているとも一概には言えない。この組織はそういう面が重要視されるのも事実だからね。しかし、私は昴をリーダーから外そうとは思わない。君達メンバーには期待しているんだ。そこで、だ。昴、君には警察大学で初任幹部課程を受講してもらいたい。その後、管理職登用試験も受けてもらう。外部研修は、すべてが落ち着いてから行ってもらう事になるかも知れないが」「え? 待って下さい。それはオレに、すぐにも警視になれとそういう事ですか? プロジェクトが始動したばかりの今、ですか?」「そうだ。話はすでに通してある」「そうだ、って。王子達の来日まで、色々準備しなくてはならないんですよ? なのにオレが何ヵ月も抜けて、彼女、真山巡査部長ひとりでどうしろと言うんですっ!」「昴、私は君が警備部にいた頃から再三、昇任の為に受講しなさいと言って来た筈だろう。今回の事は耳を貸さなかった君の責任でもある。違うかい? ともかく、だ。昴──。いや、一柳警部補。これはお願いではない。警視総監として、君に命令しているんだ」「っ!」 父さんの言う事は正しい。オレの責任だ。だが、カッと来た。正論だから余計に腹が立ったのかも知れないし、言い方が気に入らなかったのかも、いや、もしかしたらオレの甘えかも知れないが。ともかく頭に来た。彼女はオレの微妙な変化をすぐに察知した。「す、昴──じゃない、一柳警部補。落ち着いて下さい! だ、大丈夫です。一柳警部補がお留守の間は自分が、準備を進めて置きますから。任せて下さい。それに、自分はひとりではありませんよ。自分だけでは一柳警部補もいささかご心配だろうと思いますが、このプロジェクトのメンバーには、一柳警部補の他にも優秀な先輩方が沢山いらっしゃいます。分からない点などあれば、きちんとご指導願いますから。戻られた時に、一柳警部補が頭を抱えないように自分、精一杯頑張ります。どうか、お任せ下さい。お願いします」 彼女が止めに入った。警視総監の命令に加え、彼女に必死でそう言われ頭を下げられては、頷くよりほかになかった。
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