「あ、あった。何々……[世界一精巧なラヴドール」として有名な「リアルドール」を約20年間世に送り出してきたAbyss Creations社は現在、リアルな人工知能ロボットヘッドを開発中だ。既存のリアルドールの胴体に装着が可能だという。リアルドールを知らない人のために説明すると、高価(5,000~10,000ドル)だが非常にリアルなセックス・ドールだ。男性タイプと女性タイプがあり、ポーズをとることができる骨格と、シリコン製の肌を備えている。体重や大きさも、実際の人間とほぼ同じになるようにつくられている(ちなみにリアルドールの頭部と開口部は交換が可能だ)]だって」
「それ調べてたのか?」
「ん、興味が出た事は一応調べるの。男バージョンもあるんだねぇ」
「あ? 何に興味持ってんだ。お前もオレも、リアルドールなんていらねーだろ」
「ふふ、何ブツブツ言ってんの? [AIで動くロボット・ヘッド【Realbotix】は2年以内に発売され、価格は約10,000ドルになる予定だ。すでにリアルドールをもっている人は、その頭部をRealbotixに交換できる。Abyss Creations社はその後、30,000~60,000ドルの全身ヴァージョンに取り組む計画]だってさ。何年か後には人工知能で話したり動いたりする全身揃ったすんげーのが出るって事だね。30,000ドル? 幾らだ? えーっと日本円で今現在で換算するとぉ……約3,703,704円。60,000ドルなら約7,407,407円だってぇ。ねぇ、ならさ、もっと金出したら希望通りのアンドロイドも作れるって事だよね?」
「だな。まあ、すげー大金積めば出来るだろう」
「いいなあ。アンドロイド欲しい!」
「ああ? だから! そんなもん、本物のオレがいるんだからいらねーだろ」
「いや、僕の」
「あ? なまえのアンドロイド?」
「ん、僕の情報、思考から全てインプットしてさ本物そっくりのやつ。もちろん声も何もかも頭の先からつま先までみーんなそっくりにすんの。そうだなぁ……セックスも出来るなら、あっちの具合もそっくりなのが良いかなあー。あ、でも胸はもう少しおっきい方がいいかなあ。ねぇ? ぶっちゃけ、昴ももうちょっとおっきい方が良い? どう? 今のサイズじゃ物足りないんじゃない? 怒んないから本音でぶっちゃけてよ」
「はあ? オレはなまえそっくりのお人形はいらねー。本物が良い。サイコ―の本物がいるのにニセもんなんていらねーだろが」
「えーだって僕は劣化するもん。若くて綺麗な内に作っとけばさー。あ、……なら、十代の頃のが綺麗だったかなぁ。もう劣化してるかな……」
「ばか、何しょんぼりしてんだよ。劣化なんてしてねーよ。お前は、サイコ―に可愛くて綺麗だよ。それにな、劣化どころかお前さ『結婚して女っぷりが上がった』って野獣共が噂して狙ってんじゃんかよ。知んねーのか? オレはひやひやしてるんだけど?」
「えー? またあ。昴ってば話、作ってるでしょ? でもなら、まだ遅くないって事か。嗚呼、お金欲しいなあ。大金がなきゃ始まらん。よし、BIGとかLOTOとか買って当ててやるぅ!」
「何だよ、珍しいな。お前がそんなの言うの初めて聞いた。宝くじだの何だの、僕じゃはずれそうで勿体ねーって見向きもしなかったろうが。どういう風の吹き回しだよ?」
「んーだけどさー」
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