「ふぅーん、すげーな。でも、ちょっと不気味な夢だなー」
「ん、確かに芸術的と言えば芸術的かもだけどぉ、綺麗とは思えないなあ。僕もちょっと不気味に感じる。夢を見る事自体は凄いけどなあ。ふん、アンドロイドか……」
興味を持ったのか、そう呟き調べ始めた。
「すっげーな。自分そっくりのアンドロイド作ってる人いるよ。アンドロイド研究の第一人者の人だって。見て。凄いよ」
「へえー」
記事を読みタブレットを返すと、暫くしてまた何か見付け呟く。
「美しいアンドロイドとの三角関係を描く映画[Ex Machina(エクス・マキナ)]だって。これ観たいなあ」
「その映画、これからか?」
「んー日本未公開映画、らしい。ダメじゃん。残念だなあ」
「でも流行れば日本でもその内、やるだろ。かかったら観に行こう」
「う、うん。……だね。あ、こっちは[シリコンの肌と人毛のかつらを付けており、嗅覚以外の感覚をすべて備えているため叩かれると痛みを感じ、くすぐられるとそれを感じる。さらに、1万3千種類の言葉を日本語と英語で流暢に話す]だって」
(ん? 何だ? 今の不自然な間は。秘密と、なんか関係ありか? 会話してる間に何か掴めるかも知れねーな。よし)
「ああ! [オランダで女性型アンドロイドによる売春宿をオープンさせるという予定があるという。しかもそれは政府のキモ入り事業……【勤務する】女性アンドロイドには骨格には高強度チタン、ボディは弾力のあるシリコン製、髪の毛は本物の人毛を使用。会話能力を備え本物の女性に限りなく近い仕様となるそうだ。また美形ぞろいとなる見通しである]だって。これ三年前のニュースだ。その後どうなったのかな? でも政府のキモ入りってすげーな。つー事はHも出来るんだなあ。ああ、そういえばあ……小笠原さんがなんか言ってたなあ」
ぶつぶつと独り言のように呟く彼女の言葉をまた拾いあげ、会話に参加する。
「小笠原が? 何て?」
「ラヴドールはめざましい発展をしてるとか何とか? リアルだとか? 誰だったかな、確かぁ……誰かうちの連中と話してた。僕は、あんまり詳しく聞いてなかったからよく分かんない。しかし、小笠原さんも何でも知ってるよねえ。ラヴドールまでとは、すごいと思ったんで微かに覚えてた」
「ふぅーん。ま、確かに小笠原は博識だな」
「でしょう? 昴や小野瀬さんも博識だけどねぇ……」
と言いながら、また何かを調べてる。
「お前も十分博識だけどな」
「んー? 何か言った? ごめん、今ちょっと気を取られて聞いてなかった」
「いいや。それより、今度は何調べてんだ?」
「んん? ちょっとぉ、ね……」
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