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「服は源次郎が届けてくれる事になってんだ」 オレの発言に室長がちょっと身構える。「源次郎? 来るの?」「それじゃー、またきっと『ルイさーま、ご機嫌いかがぁ?』って来ますねー」 如月が源次郎を真似て言うと室長が嫌な顔をした。「あの人、室長のファンだからね」 小笠原の言葉に、ため息をつく室長を見て彼女が笑う。「ちょっと? チビ助何笑ってんのよ。それはそうと、アンタ、欲しい物思い付いたの?」「ん? もう貰ったからいい」「何をよ? まだ何にもやってないわよ」「明日のお休み」「バカねえ、アンタ誕生日プレゼントって言ったの本気にしたの? あれは言葉のあやよ?」「でも、欲しい物ないもん。僕は昴とみんながいれば十分幸せだもんね」 彼女がけろっとした顔で言うとみんなが感激したように彼女の名を呟く。 その言葉が、単なるウケ狙いではなく本心からの言葉なのは彼女の生い立ちを考えれば分かる。だからこそ、なおさらグッと来る。「全く、この娘は欲がないんだから。とにかく、何でも良いから考えときなさいよ。今年は多少高いものでも構わないから――」 その言葉に彼女が眉を八の字にしてシュンと泣きそうな顔をする。「あ? ちょっと何でそこで泣きそうな顔するのよ?」「それって、もう異動だから? 緊急特命捜査室のメンバーじゃなくなって最後だから? ふっ、ぐぅ……」「え? ちょ、ちょっと、違うわよ? 泣かないのよ、チビ助」 みんなが慌てふためきおろおろとする。引き寄せてぽんぽんと落ち着かせながら言う。「なまえ、そう言う意味じゃねーよ。考え過ぎ。前に言ったろ? 違う課になってもみーんなお前の仲間だし、家族代わりだって」「そ、そうだよ。課が違ったって何も変わらないよ」 小笠原が珍しく必死で言う。続いて明智さんが言い切った。「そうだぞ? 俺はお兄ちゃんをやめる気はない」「そうやで。賢ちゃんかて、ずーっとお兄ちゃんやで? なんも変わらへんよ」「バカだな。チビ、異動したってお前は俺達の妹なの。これからだって俺はお前をからかう」「如月、それ自慢げに言う事?」「ふふ。あんまりオレのなまえをいじめんなよ? 如月ー」「ひぃー。一柳さん、怖い」「ふっ、ほら、オレの言った通りだろ? 異動したってお前は、何にも無くさねーよ」「当ったり前じゃないの。バッカねえ、チビ助は。アンタあたし達をそんな薄情者だと思ってるの?」「そ、そんな事思ってないよぉ。ぐしゅっ」 彼女がオレから離れ慌ててみんなに言う。そこへ……。「おチビちゃんまだいる? あ、良かった。お誕生日のお祝いを言いたかったんだ。ん? どうしたの? 可愛いお目め潤ませて。何かあった? もしかして、穂積にいじめられたのかな?」「ああ? 誰が大事な娘、いじめるか。チビ助、こいつのずうずうしさを見習え。よそ者だけど、我が物顔で乱入するだろうが」「なんか、ひどい言われようだな」「ってか、こいつ、うちの課じゃなくても、お前のお母さんだろう? こいつはチビ助には、仲間や家族じゃねえのか?」「え? おチビちゃんそうなの? 本当なら、ショックだな。あんまりだよ?」「ち、違う! な、仲間、お、お、お母さんっ!」 慌て過ぎてどもりながら、彼女が叫んだ。みんなが笑い、室長が小野瀬さんをからかうように言う。「おい、小野瀬お母さん呼んでるぞ」「あ、う」 呼び違えた彼女が困ったように言葉に詰まる。「はいはい。なぁに? こんなに可愛い娘なら、この際お母さんでもいいよ。誕生日、おめでとう」 優しい顔で頭を撫でられ、また彼女がうるっとする。「おや、おや、今日はおチビちゃんの涙腺、ゆるいみたいだね」
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