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● ○ ● ○ あれからオレは藤守から担当を引き継いで、真山と連日捜査に当たっていた。相変わらず進展は見られない。範囲を拡げての聞き込みもしたが、目新しい情報はなかった。手掛かりを掴もうと現場付近の不審者情報の多い場所を当たり、時には張り込んでもみた。が、それ等は全て空振りに終わっていた。 一方、犯行は少しずつ様相を変えてエスカレートしつつあった。朝練の為に早朝に通学して来た生徒が、背後から馬乗りされて髪を切られる被害者が出た。被害がそれだけで済んだのは、たまたまジョギングで通り掛かった男性が大声を出し、犯人が逃走した為である。男性は犯人の後を追いかけようとしたが、被害者がパニック状態になっていた為に断念した。今までは夕方のみの犯行だったが、今回は早朝。しかも制服ではなく、髪を切っている。被害者に怪我がなかったのが、不幸中の幸いだ。 その件はオレ達に、より強く焦りや苛立ちを感じさせる事になった。ため息と共に、焦燥感がつい顏に出る。それでもお互いに、励まし合って捜査に当たって来た。 捜査状況は変わらないが、確実に変わった事がある。 オレの真山への認識だ。 真山は女にしとくのが惜しい位に、骨のあるヤツだった。俊敏で気働きが出来る。媚も売らなきゃ、甘えても来ねー。納得出来ねー事や、疑問があればキャリアだ上司だ関係なく真っ直ぐぶつかって来やがる。かといって、難癖つけてるワケでもねー。間違えに気付けば、意地や見栄を張らず誤魔化したり嘘をつかず、素直に非を認めてきちんと謝って来る。ぐちぐち、めそめそ、泣き言も言わねー。言うどころか逆にやる気や負けん気を出して、ニカッと笑いやがる。全く、おもしろいヤツだ。見てて飽きねー。オレが今まで知ってる女達とは、全然違う。室長の言うようにそこら辺の野郎共よりはるかに使えるし、一緒にいて苦にならねー。これなら皆が可愛がるワケだ。最初はどうなる事かと思ったが、今やオレ達の相棒としての信頼関係もだいぶ出来つつある。 この真山を、ここにスカウトして来たのが室長らしい。あの人も桂木さんが認めるだけあって、奥が深そうな男だ。 殺し程のでかいヤマはまだ無いが、世田谷のこのヤマも現場を知るのは良い機会になっている。 オレはここで吸収すべきものはみな吸収し桂木さんが認める室長も、そして桂木さんも、全て追い越して警視総監の父さんに追い付いく。 そうやって登り詰めて、父さん以上の男になってやる。このヤマは、その第一歩だ。その為にも先ずは、必ずこの犯人を掴まえてやる。オレのおもしれー相棒と一緒にな。 ● ○ ● ○ 捜査室で他のメンバーも加えてミーティングをしている。 ここは人員の割りに仕事の依頼が次々入り、なかなか忙しい部署だ。抱えているヤマが多数あるので、それぞれの組で違うヤマに当たる事になり、他の組の動向が不透明になりがちだ。対策として、こうした全員参加のミーティングを行う。報告し合い互いの状況を把握すれば、いざという時に対処しやすくなる。
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