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● ○ ● ○ いつもよりは順調とはいっても、それでも年度末に二人で休みを取るのは容易な事ではなかった。源次郎から候補が見つかったと数日前に連絡を受けたが、店に行く時間が取れなかった。そして、とうとう寄る間も無く二十七日、当日を迎えてしまった。『参ったな』朝、ベッドでまだ眠る彼女を見ながらため息と共に漏らす。オレのため息に反応するように、彼女が身動ぎ『んん?』とこちらを見た。「おはよう、昴」 目が合うと彼女がやわらかに微笑む。「おはよう、ハニー。誕生日おめでとう」 彼女の頬と唇にちゅっとキスをする。「ふふ。ありがとう。ダーリン、どうしたの? 朝からため息ついて」「聞こえたか?」「ん、なぁに? 話してみて」「いや、大した事じゃねーんだが服がな――」 オレの話を聞いて『忙しかったから仕方ないよ。とりあえず源ちゃんに電話してみよ』とサイドテーブルから携帯取ろうとした彼女の手を掴み『なら、オレからするよ』と隣のスマホを手に取った。「源次郎? おはよう、一柳だけど。朝早く悪りーな。服の事なんだが、すまないな。こっちが頼んだのになかなか時間が取れなくて――」「仕方ないわよ。お仕事ですもの。でも、デート今夜なのよねぇ……」「ん、あがってから大急ぎでそっちに行くよ」「それもちょっと慌ただしいわねぇ。せっかくのデートなのに。ねぇ? 昴ちゃん。ベイビーちゃんのサイズ、変わってないかしら?」「あ? ああ、変わってねーよ」「そう。なら、私がお仕事が終わる時間に合わせてお持ちするわ」「あ? それじゃ面倒だろう?」「いいのよ。大好きな二人のためだもの。サービスしちゃうわ。それに行けばベイビーちゃんにおめでとうも言えるし丁度いいわ」 源次郎の言葉に甘え頼む事にした。 ● ○ ● ○ 『終わったー!』声と共に机から顔を上げる彼女。「チビ助、終わったの?」『はい』と室長に返事をしながら書類を手に立ち上がる。書類を受け取りチェックをする室長。オレも出来上がり、彼女の隣でチェック待ち。「よし、二人とも完璧。今日はもう定時だし上がっていいわよ。どっか行くんでしょ?」 室長の問いに彼女の顔が綻ぶ。「ははは。聞かなくても分かった。嬉しそうな顔して。その顔じゃよっぱどいいとこ行くのかしら?」「ちょっと飲みに行こうかと」「二人でお洒落なBARに行こうって。ね?」「それ、チビ助のリクエストでしょう。あんた、お酒好きだものねえ」『えへへ』と彼女が笑うと、みんなが寄って来た。「嬉しそう。良かったね。たまにはゆっくり楽しんでおいでよ」 小笠原が言う。彼女が嬉しそうな顔のまま頷く。「なんや、ほんま嬉しそうやねぇ。笑顔が輝いとるわ」「誕生日だもんな。チビ、楽しんで来いよ。あ、お酒はほどほどにな。女の子なんだから、無茶飲みはダメだぞ」 明智さんに釘を刺され『はぁーい』と返す彼女。「チビ、お洒落なとこにその恰好で行くの? それはちょっとないよなー」 如月が彼女を見て言う。
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