諸々の準備が整う間にオレ達は、手順を覚えて式に出席した。
式は厳かに進行し、教会で行った時はまた違う赴きがあった。心に響くものがあり感動した。オレの隣にいる彼女もまた感動したようだ。式の終わりに、そのくりっとした愛らしい瞳を涙で濡らす一幕があった。その姿に感動してもらい泣いてる参列者もちらほらいた。想像以上に良い式で、忘れられない日になった。
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「はい、皆さん撮りますよ。こちらを見て下さいね。あ、三列目の長身の方からもう少し中央に寄って下さい。はい、では撮ります」
総理も王子達までもが入り彼女曰く『何とも豪華な顔ぶれ』で集合写真を撮り、二人で撮ったり友人達と撮ったり、笑顔で幾枚も記念撮影をして楽しい時間を過ごした。
王子達に途中でアルさん達、執事から『そろそろ』と呼びが掛かった。
だが──。
「我々は、断固としてパーティーまで出席する!」
そうロベルト王子が言い出した。そのスケジュール丸無視の宣言に、アルさんは呆れながら『そのような我が儘を言ってはいけませんよ』と小言を開始した。ロベルト王子は、説教にもめげずオレ達の周りをぐるぐると逃げ隠れして『友人のお祝い位、最後までしたい。残るって言ったら残る! まだ帰らないー』と言い張った。見兼ねた総理とオレ達から、アルさんにお願いして結局、食事会にも出席してもらった。最初はぶつぶつと嘆いていたアルさんだが『一緒に写真を撮りましょう』と彼女が庭に誘うと『よろしいのですか?』と喜んだ。オレと彼女と執事さん達は、もう一度庭に出て笑顔で写真撮影をした。
庭側の扉から、会場内に戻る時に立ち止まり中を見回した。親族や仲間達、皆、楽しげに誰もが笑顔だった。
隣から『どうしたの?』と彼女の声。
「ん? みんな笑顔でさ、良い日だなって思ってた」
「そうだね。笑顔がいっぱい……幸せだ。ね?」
隣を見れば、彼女の幸せそうな明るい笑顔。それが、ますますオレを幸せにする。
「ああ、スゴく幸せだな」
笑顔を返し彼女の手を取って中に入ると、楓さんや親戚達がやって来た。
楓さんは彼女を気に入ってるようなので心配ないが、親戚は油断出来ない。ちょっと身構えていると、楓さんが『綺麗な花嫁さんね』と褒めてくれた。二人で今日のお礼をもう一度言うと、待ちきれないという感じで親戚の叔母達が一斉にギャーギャー騒ぎ出した。
「ちょっと、ちょっと! あなた達、王子達と知り合いなのっ?」
皆でギャーギャー言うから聞き取り難いが、どうやらそんな事を騒いでる。
(こいつらは、こういうのに弱い。丁度良い機会だ)
ここぞとばかりに、彼女をアピール。
「ええ、以前任務で。彼女が王子達とプリンセスを守りましてね。その働きが大変素晴らしいと、お気に召されたようで。それ以来、懇意にしていただいてるんですよ」
オレの言葉に案の定、目を輝かせて食い付いて来やがった。
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