「あ、あの警察の礼服を着られるの、警察学校の入校式と結婚式位だもんね。す、昴と同期じゃないから入校式の晴れ姿は僕、見てないし……」
「オレの礼服姿、そんなに見たいのか?」
「う、うんっ! も、勿論! 貴重な礼服姿だもん。ぜっ、絶対、目に焼き付けるぅー」
彼女の言葉が嬉しい。『ふっ』と頬をゆるめ、彼女の頬をツンツンとつつく。
「姫はほーんと、オレが大好き過ぎなー」
「ん、す、好き……大好き。い、良いの! す、昴がイヤって言っても好きなもんは、好きなんだからしょうがないの」
ちょっとツンとして[悪い?]とでも言いそうな勢いで返して来た。
「おっ、ツンデレか。ふふっ……照れ隠しだろ? バレバレだ。その、ちょっと赤い顔を見れば、な。可愛いヤツ……」
彼女は照れた顔で、目を泳がせてますます赤くなった。
「オレが姫に好かれて、イヤだと思うか? 姫は知ってんだろ、ん?」
顔を覗くと赤い顔のまま、知らないとでも言うようにぷいっとそっぽを向く。
「ふふ……。姫、良いのか? もし知らないって言ったらなー」
「い、言ったら?」
上目遣いにオレの出方を待つ彼女に、ニヤリとしてやる。
「ん? そりゃー勿論おしおきに決まってんだろ」
「えーっ! ダメダメー! 今日は結婚式なんだからっ! さすがに行く前に、エロい事はダメ」
びっくりしたのか、吃りが取れた。
(良い傾向だ。もう少しからかうか……)
「んー? まだ、時間あるし大丈夫だろ? 行く前に、二人で愛を誓い合うってのも良いんじゃねー?」
「え? ええー? それはちょっとぉ……ショ、ショヤ……まで我慢して下さい」
そこだけ小さい声で、もにょもにょ言って彼女は真っ赤になった。
「ぷっ、あはは。恥ずかしいのか? ふふ……。顔色、良くなったな。完熟トマトみたいに真っ赤だ。今度は良すぎだな。ふふふ……」
「もー、笑いすぎーっ! ……ねぇ、ってかさ、僕達初めてじゃなくてもさー……そのぉー、やっぱりさー」
「初夜になるのかって?」
「う、うん」
「結婚して最初の、って事でなるだろ」
「あ、そうか。結婚して最初ね。なるほどぉ」
「昨日、届け出したから昨夜してたら、それが初夜だったのかな……ま、そこまで余裕なかったしな」
「うっ、ごめん……」
申し訳なさそうに肩をすくめる彼女に、ちゅっと音を立ててキスをする。
昨夜、彼女は緊張してるみたいでダメだった。無理矢理するもんでも無いので、全体的に強張った彼女の身体を優しく抱きしめてあやすように背中をポンポンと叩きながら、いろんな話をした。
暫くそうしていると、少しずつリラックスして来たのか、彼女はオレの腕の中で安心した顔でスヤスヤと眠りについた。
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