「国内の人もいるの?!」
「ええ、案外いるそうですよ」
黒澤が彼女に頷く。
「そっか、案外いるのか……」
何となく、ホッとしたような顔になった。
「なまえ、海外でも、国内でも良いから、どっか気になる所、片っ端から言ってみな?」
「気になる所……イメージで良いの?」
「ああ、良いよ」
「んー海外は、フランス、イタリア、イギリスかな? 後、NYも行ってみたい。昴が過ごした場所、見たい。でねぇ、国内なら北海道、京都、金沢、飛騨高山で白川郷見るなんてのも良いかなぁ。国内ならさ、のんびり観光して、美味しいもの食べて、温泉入りたいな」
「そっか。どれも良さそうだなー」
「チビ助。なら、ここはバァーンと海外行って来いよ。フランス、行ってみたいんだろ?」
「ん、パリとか、ニースとか色々……でも僕、フランス語まーったく分かんないし、ちょっと心配。はぐれて迷子になったらどうしよう……あと飛行機も、ちょっと心配……」
「あーあ、またチビ助の心配性が始まった。お前はいざというときは考えもしねえで突っ込むくせに、考える時間があると妙に心配性だよなあ。海外に慣れてる優秀な元SPでチビバカな昴が、一緒なんだぞ。心配ねえだろが」
「フッ、ですね。なまえを、迷子になんてさせねーよ。ニースな。オレも行ってみたい。国内の今の場所なら、情緒もあって良いけど。せっかくだから海外行こうぜ。それに旅行は、結婚してからだって行けるよ。今回行かれない所はさ、オレが後から、ちゃんと連れてってやるよ。ふふ……任せろ。オレはな、釣った後でもちゃんと餌もやるし、大事にして可愛がるんだよ」
「釣ったって……僕は、釣られたお魚か? もー。ふふふ……。じゃあ、渇いちゃわないように、ひとつ、よろしくお願いしまーす」
「りょーかい。ふふ……」
「あーまたチビ助達に、あてられたわ。全く、この幸せバカップルは」
室長の言葉に彼女が『えへへ』と照れながらも幸せそうに笑う。それから旅行の話を肴に酒を飲んだ。酒が進むと彼女が、ほわぁーんとした様子で語り出した。
「フランスかあ。ニース、カンヌ、モナコと言えば紺碧海岸……コートダジュール、天使の入り江! 綺麗な景色を眺めながら、海岸沿いをお散歩とかぁ。マチス美術館にシャガール美術館、ルーブル美術館、オルセー美術館、オランジュリー美術館、あ、ポンピドゥーセンターも行きたい! 美術館巡りも楽しそうだなぁ。そうだ。華の都パリで、パリジェンヌみたいにマルシェでお買い物してぇ、公園でランチとかぁ。シャンゼリゼ通りのカフェでお茶とか、セーヌ河沿いをお散歩とか、エッフェル塔に、凱旋門も見たいし、ムーランルージュでショーも良いなぁ、オペラ座も雰囲気あるし……教会巡りも素敵かも。ノートルダム大聖堂でしょう。あと、サント・シャペル教会でパリの宝石と言われるステンドグラス見るとかぁ」
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