谷田部はたまらず、空いた片手でなまえの頭を胸に抱き寄せる。
なまえ:え?
谷田部:真山。俺は、お前の笑顔、大好きだ。けど、そんな辛そうな笑顔するなよ。お前のそんな顔たまらないよ。心が痛くて辛いなら、泣けよ。無理するな。頑張り屋のお前は好きだけど、無理しちゃダメだ。
なまえ:か、和くん?あ、あの、えっと……だ、大丈夫だから。
谷田部:真山、あれ、食べた?
なまえ:は?
谷田部:ホワイトデーに渡したやつ。
なまえ:ああ、うん、ありがとう。美味しかったよ。
(なまえ:ほとんど、ブツブツ文句を言う昴に食べられたけど……)
谷田部:そっか。……あの時、時間作ってくれって言ったろ?
なまえ:あ、うん。
谷田部:このヤマ、落ち着いたら、都合つけてくれないか?……オヤジさんも会いたがってるし。
なまえ:えっと、まだ予定が立たないよ。このヤマも先が見えてないし……。
谷田部:そうだな。ヤマが片付いたら、前向きに考えてくれるか?
頭を抱く手にほんの少し力が入る。
なまえ:か、か、和くん?あ、あの、え、えっと、は、放して?
谷田部:真山、焦ってる?この状況にドキドキしちゃう、とか?
なまえ:え?だ、だって、近過ぎ……。
谷田部:ドキドキしてるんだ?それって……(すごく小さな声で)希望があるのかな……。
なまえ:本当に大丈夫だから、は、放して──
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