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『あら? そう』と言って彼女が笑うのを止め、屈むと男の顎を持ち凄みのある声で言う。「本気よ? 話さないなら、それでも別に良いわよ? ふふふ……だって、お話したくなるまで、おしおきするだけだもの……。タマだけで吐かないのなら、その次は……、チョン切るのも良いかしらねぇ」 先程よりさらに、ニィーと口角を上げ悪魔のように笑う。 男は何かを感じ取り青くなるが、頑なに口を結ぶ。彼女は男の顎を離し、立ち上がると、身体を斜に構えて腕を組んだ。 そして、ガラリと表情を変える。ゾッとするようなとても冷酷な顔だった。目付きは鋭いのに、唇は弧を描くようにニヤリと持ち上げ笑っている。そのまま、上から男を見下ろして冷たい声で言い放った。「痛みで、死なないと良いけどね? ウフフ……。せいぜい頑張りなさい」 そう言ってから『石神さん、今の余す事なく訳して差し上げて下さる?』と言い、石神が先程の言葉を伝える。 男は彼女を見る。依然、射すような冷たい目付きで見据えたまま、足をゆっくりと動かしヒールを下ろす仕草をした。 男は『ヒィー』と悲鳴を上げ、怯え震えながらベラベラ話し始める。「……襲撃犯は、十人で全員だそうです」 男が話した事に、満足そうな彼女。 口には出さないが、この時この場にいる男達は内心、多少の恐怖を感じ思わず股関を押さえたくなったに違いない。皆、顔が引きつっていたし、また先程の彼女にはそれ程の迫力があった。(絶対、浮気だけはしないようにしよう) 元々する気はないが、オレは改めて心に誓った。 ● ○ ● ○ 別班の如月と明智さんが来て、応援の警官達と犯人達を連行して行った。「あっちも全員無事よ。石神さん、助かった。礼を言うわ」 室長が、石神や後藤、黒澤に頭を下げる。オレ達もそれに続く。「でも、どうして公安が?」 オレは、疑問を口にする。「穂積さんに頼まれて連中を洗ったんですが、探る途中でその連中が今追ってるうちのヤマとの関わりがあるのが分かったんです。詳しくは言えないが……その組織は、最近日本で手広く動いていたようだから、余罪は山程出て来るはずです」「なるほどな」 オレが、納得する横で先程とは打って変わり、いつもの調子で彼女がお礼を言った。「本当に助かりました。ありがとうございました!」「なまえさん」 石神が彼女に、ハンカチを差し出し目を逸らす。顏が若干赤い。「……血が出ています。使って下さい」「あ、本当だ。今、気付いた。でも、ハンカチ汚れちゃいますよ」「構いませんよ」「ありがとうございます」 石神からハンカチを受け取ると、彼女が右胸を押さえる。「あら、やだ。痛む? ……はぁ。無傷じゃ済まなかったか……」 室長がため息をつきながら言うと、彼女が少し慌てる。「だ、大丈夫。大したことないですよ。ほら、いつもと勝手が違うから……大きいから避けたのに、かすったんですよ」「あ、あの時か……。オレがもっと早く気付けば良かったな。悪い」「え? いや、大丈夫だって。大した事ないよ」
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