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「いつまでも、いつまでも……んなよ。優しさに、後ろ足で砂かけて行くような真似してんなよ。そうやってお前が復讐してんのは、お前の母ちゃんじゃねーんだよ? 分かってんの?」「…………」 神津が彼女を見たまま、押し黙る。「本当に……本当に、一人で良いつーなら……甘えてねーで、孤独に生きて、ひっそり野垂れ死んだらどーよ?」 彼女の言葉に、ヤツの目が動揺したように揺れる。「……フッ、分かるよ。それも、やっぱ怖いよな。俺等みたいな野良でも、さ。それに……お前、未だに寂しい、寂しい。愛してくれって、全身で叫んでるもんな。昔とおんじだ。……なのに、いざとなりゃビビって逃げやがる。全く……困った野郎だよ。未だに、ガキのまま泣いてやがるなんて……」 それは、怒りとはまた違う悲しみを感じる口調だった。真剣な眼差しでじっとヤツの瞳を捉えたまま続けた。「なあ、お前の死ぬ程欲しいもんはさ、逃げてたら一生手に入らねーよ? 寂しさと嘘塗ったくって、色んな奴と幾ら肌重ねたってな。……余計、渇いて辛くなるだけだぞ? ガキのまま、くれ、くれって泣いててもな。お前が勇気出さなきゃ、欲しいもんが目の前にあっても掴めねーよ? ……お前に、だってそん位の勇気あんだろ?」「……ねーよ」「フッフフ……ハハハ……」 神津の返事に、彼女は笑った。それは笑っているのに、悲しんで泣いてるみたいに聞こえるそんな笑い方だった。「あーあ。バカだね、お前。……それじゃ、救えねーし救われねーよ……」 それから、彼女は神津の頭を引き寄せ、小さな子供をあやすように抱いた。そして、優しく諭して教えるように言う。「なぁ、お前が望む愛は、もう俺にはくれてやれねーからさ……同類のよしみで、アドバイスしてやるよ。良いか? 今、お前が諦めようとしてるもんを、自分で掴みに行けよ。行けば、きっとその手に掴めるから。……んでな、掴んだら、ぎゅっと握って自分から手放すんじゃねーぞ。……大丈夫、大丈夫だよ。亮治。お前にも、絶対掴めるよ」 ヤツの顔がほんの少しの間、泣きそうに歪んだ。 彼女にそれは見えない筈。だが、全て分かってるらしい。あやしてなだめるように、身体をポンポンとした。 それからそっとヤツから離れて、お着替えコーナーに入って行く。 ドレスを着替えて出て来ると、室長に頭を下げた。 「すみません。少し休憩して来て良いですか?」『良いわよ』と室長が許可すると、神津ともオレ達とも目を合わさずに黙って出て行った。 彼女の背中がドアから消えるのを見て、オレは神津に近寄り念を押す。「なあ……言っとくが、あいつの気持ちムダにしたらタダじゃおかねーぞ。しっかり覚えとけよ?」「……室長、オレも休憩行って来ます」 室長へ向かい、そう断り彼女を追った。.
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