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腕の中から彼女が、上目遣いにおずおずと聞いて来る。「グシュ……呆れないの?」 平静を装いながらも、ドキッとした。普段から彼女の上目遣いは充分可愛い。これでおねだりされた日にゃー嫌と言うのは至難の技だ。それを今の、涙で潤むその黒く可愛い瞳でやるなんて……ズルいとしか言いようがない。もう可愛い過ぎて、破壊力抜群の反則技と言える。 オレは、彼女の濡れた頬に素早くちゅっと口づけて、赤く火照って来る顔を見られない内に、彼女をキュッと抱きしめ答える。「呆れるかよ。むしろ、バカ男共がお前手放してくれて、オレは良かったよ」「良かった?」「ああ、おかげでお前をオレのもんに出来たからな」「……ヤじゃない、んだ……」「ま、お前みたいないい女、アイツ等のもんでも、絶対奪い盗ってただろうけどな。良いか? オレはアイツ等みたいにバカじゃねーから、お前の事、もう手放さねーぞ。お前は、ずーっとオレだけのもんだ。分かった?」 肩に手を置き身体から彼女を離して顔を覗き込んで念を押すように言う。泣いたせいで、ちょっと鼻の頭がピンク色になっている彼女は、素直にこくりと頷く。(こんな顔も可愛くて仕方ねー。つくづくオレはなまえに惚れてる) そう改めて自覚する。「……ん、わ、分かった……スン……」「なまえ、お前には、オレがいるよ。な? お前を、誰よりも愛してるオレがな」「ん」『昴、好き。昴が大好きだよ』とオレに抱き付く彼女を、全て受け止めるように抱きくるむ。「……知っている。でも、お前ってやっぱり昔から危ねーんだな」「……危ない?」「ん、初めてん時迫られて、何だか分かんない内にそうなっちゃったんだろ?」「う、うん。……普通はそうじゃない、の?」「話、聞いた限りじゃ流されてそうなった感じに思えたけど? なんか危なっかしい……」「そっかなー……ねぇ」「うん?」「本当にさ、嫌いになってない?」 顔を見ると、不安そうな目がじっとオレの返事を待っている。彼女の頭を撫でてから言う。「ああ、なってないよ。オレも誰にも負けない位、お前が大好きなんだよ。愛してんだ」 頬にちゅっとして、大事に大事に一旦抱きしめ、顔を見て続ける。「あのさ……もうオレ以外に流されちゃダメだぞ? 自分でも、そういうの弱いんだって、注意しなさい。分かったか?」「……うん」「つーかさ、ワケ分かんない内にそうなって幸せ感じた?」「んん……感じないよ。ってか、苦痛だった。訳分かんないって言葉がぴったり。本当に、あんまり覚えてない」 彼女が記憶を辿るような遠い目をして、少し黙った。それからまたポツリ、ポツリと話し始める。「アイツ何も言わないし、なんか怖くて。思ってたのと違うし、早く終わらないかってそればっかり考えてた。いい思い出なんて、ない。僕に残ったのはアイツが言ったショックな言葉と、次の朝の惨めで悲しくて消えてしまいたい気持ちだけ……」 悲しみを思い出したみたいな顔をする彼女。オレは、彼女の頭に顔を寄せ慰めるように髪にそっとキスをして頭を抱く。.
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