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「それからの僕は、毎日暴れ捲った。丁度、有名になり始めた頃で。自分から仕掛けなくても、ケンカ相手には困らなかった。売られたケンカはみんな買ったよ。もうバイトとケンカに明け暮れた。……その挙げ句が、病院送り。アイツ、どっかで僕のケガの事耳にして、ぶっ飛んで帰って来たんだ。毎日見舞いに来てくれたと思ったら、退院した時に『お前はほっとくと糸の切れた凧みたいで、ダメだな。他の女やめて、お前にするか』って冗談みたく言い出して……。またからかわれてるんだと思ったのに、本当に付き合う事になって、アイツはナンパしなくなった。でも、あんなに取っ替え引っ替えのヤツが、いつまで経ってもキスしかしないし。やっぱり僕じゃダメなのかなって、思い始めた頃。アイツ、何か様子ヘンになってさ」「だけど聞いても、なーんにも言わないし。どうしたのかと思ってたら……なんか急に、そ、その、も、求められて……何だか分かんない内にそうなった。でも[もしかしたら、僕は女でも特別に例外で……コイツには、僕が必要なんじゃないか]そう思ったんだよ。だから何にも言わないアイツを、そのまま受け入れた」 彼女はそこで言葉を切り、自嘲するようにフッと笑った。「けど、した後でアイツ言ったんだ……『まさか初めてなんて、思わなかった』って。当惑してるのを見て、なんだかイヤな予感したんだ。なのに僕、いつの間にか寝ちゃってさー」「次の日、朝早くに目覚めたら……もうアイツ消えてた。書き置きも、何も無くて。それで[嗚呼、必要なんて思い上がりだった。結局、アイツも、僕がいらなかったんだな]ってそう思い知った。けど……認めたくなくてさ、街中探したよ。馬鹿みたいに、必死でさ。でも、どこにもいなくて……。アイツ、はじめから消えるつもりだったのかも。アイツのアパートも、もぬけの殻だったしね。それきり、さっき会うまでプッツリ途絶えたまんまだったよ」 そこで彼女は『ふぅー』っとため息をつき、話しを続けた。「それからの僕は、誰かに必要とされたくて仕方なかったよ。[要らない自分]でいるのが堪らなかった。朔と図書館で知り合ったのはそんな時だった。朔も何だかいつも寂しそうで、気が付いたら『友達になってやるよ』って、声掛けてた」「暫くして朔から『友達じゃなく、彼女として付き合って欲しい』って言われた。前の事があるし僕は躊躇った。そしたら朔が『自分にはなまえさんが必要なんです』って。それを聞いて、漸く僕の中でバランスが取れそうな気がしたんだ。僕はズルいからさ。朔に惚れてるかどうかも分かんないのに、なんとなく付き合う事にしたんだよ」 そこで、彼女が口ごもる。「でも……僕さ何だか、するのが怖くなっちゃってて。求められても、出来なくて。そういうの避け捲った。だけど、付き合ってんのにいつまでも、これじゃダメだと思って。……やっと勇気出したんだ。けど、そん時にはもう遅かった。朔が浮気したの知ったんだ」.
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