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家に帰るとオレは、ヤツの事を彼女に問う。初めは躊躇して話す事を拒否していた彼女だが、オレは『あんな風に中途半端に聞いて、知らねーふりなんて出来ねー。下手に想像するのは苦しいんだよ。それよりも、ちゃんと知りてー。お前の事、全部聞かせろ』と、粘った。言っても言わなくても苦しむのだと、オレの心中を察して結局腹をくくってくれた。 彼女は、少し遠い目をして過去を話し出した。「亮治は、僕に闘い方を教えてくれたんだ。僕、その前から海司兄ちゃんに柔道は習ってたんだけどね。それでも、その頃はまだ負ける事もあってさ、ヤバい所をアイツが助けてくれたの。それが出会い」 ポツポツと彼女が話す。オレはベッドに掛けてそれを聞く。「アイツ、滅茶苦茶強くて機敏でさ、相手の奴等をあっという間に倒したんだ。驚いたよ。まあ、今なら僕は大抵は負ける気しないけど、アイツは別……今でもマジでやっても多分勝てない。力とか技も凄いけど、それだけじゃなくてキレ者でさ、先を……次の手を読まれるつーかね。最初はその強さに惹かれたんだ」(なまえは、強さに憧れる所があるからな) 聞きながら、ぼんやりと思った。「で、技とか盗めねーかと思ってくっ付いて歩いたんだ。アイツ『あー妙なガキに懐かれた』ってため息ついてたんだけど……僕ん家の事情をどっかから聞いて来てさ『俺も似たようなもんだ』って……引っ付いて歩いても文句言わなくなったんだ」「んで『そんなに強くなりてーか? なら、仕方ねーから教えてやるか』ってアイツは僕の師匠になった」「アイツ、僕がくっ付て歩いてても女とっかえひっかえでさ。『女はその場の相手が居れば良い。愛だなんだはいらねー』ってよく言ってたんだ」「あ? なんだ、ガキの台詞じゃねーな」 オレは、思わず口を挟む。(昔のオレみてーな事、言ってんな……)「ん? ガキじゃないよ。アイツ、僕よりだいぶ上だもん。多分、室長と同じ位かな? ……もしかしたら、それより上か……よく分かんない。僕、アイツの事一部しか知らないんだ。秘密ばっかだったからさ」「……ふぅーん」「勿論、教えてくれた事もあったよ? 例えば……アイツの母ちゃんも、ひどかったって事。『あれを見てるから、俺は女は信用出来ねえ……。だが、俺も男だからなー。遊びは別だ。お前も遊びで良いつーなら、相手してやるよ。淋しい夜があったら誘え』って。それ聞いて僕、こいつには絶対惹かれちゃダメって思った」「……なのにその内さ、アイツが女連れてんの見るのが苦しくなったんだ。ヤバいと思った。長く一緒に居過ぎたって……。アイツを好きになっても、ダメなのに。離れなくっちゃって……もうそん時には僕は結構強くなってたし、ここらが離れ時だと思ったよ。そしたら、すっごいタイミングで『急用で暫く街を離れる』ってアイツ居なくなったんだ」.
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