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● ○ ● ○ 笑いも収まった頃、彼女が『お腹空いたー』と言い出し、翼さんと結菜も『私もー』と続いた。男連中も、つられるように『そう言えば腹減った』と口々に言い出した。マスターがいつものように『何でも大丈夫』と言うので彼女が『つけ麺と鳥料理食べたいでーす。なかったら麺類となんかお肉料理と豆腐サラダが良いなぁー』とリクエストすると室長も『私も麺類と肉ー』と便乗し、マスターはつけ麺とスペアリブと手羽先とサラダを作ってくれて、室長と彼女はいち早く『お先に、いただきまーす!』と言ってバクバクと食べ始めた。いつもの如くすごく旨そうに食べるので、皆彼女と同じものを頼み、食べた。 みんな旨そうに、笑顔で食べている。彼女が『みんな一緒だと楽しいし、美味しいね』と本当に楽しそうにオレに言う。『ああ、だな』と微笑み返した。 そんな風に、忘年会はとりあえず楽しく過ぎて行き、お開きの時間になった。 帰り際、真壁が心配そうに彼女に言う。「あの……なまえさん、無茶はしないで下さいね?」「そうですよ。なまえちゃん」 瑞貴が言うとそらが『また、みんなで集まろう? ね? 約束だよ?』とウィンクした。黒澤がそれを受けて言う。「その時は俺達も呼んで下さいね。待ってますよ。後藤さん、俺達もまた参加したいですよね?」「そうだな。なまえ、気を付けろよ? 一柳、しっかりな」「ああ」 みんな、彼女が心配なんだ。彼女にもその気持ちは伝わっている。彼女はみんなに、笑顔を向けた。「ハイ! ……ありがとう。みんな、きっとまた遊ぼう、ね」 黙って様子を見ていた石神が『待ってますよ』と彼女に言う。頷く彼女に桂木さんはもう一度『無理をしないように』と念を押した。 ● ○ ● ○ そうして、みんなと別れタクシーで自宅に向かう。彼女は車窓から流れてく景色を、何か考えるようにぼんやり眺めている。そんな彼女を見ていたら、奴の顔がふっと浮かんだ。 顔を思い出した途端、奴が彼女にした事、言った事がまざまざとよみがえりオレをイラつかせる。つい、独り言が唇から零れ落ちる。「ったく、次から次に出て来やがって……」「うん? 何か言った?」 ぼんやりしてた彼女が、オレに視線を向け尋ねた。それに答える変わりにオレは彼女の手を、きゅっと強く握る。
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