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「勝手だよな。すまねえ。でもなまえ、頼む! 力、貸してくれ!」「亮治お前、知ってっか? 俺なぁ結婚すんだよ? 心底、惚れた男とさ……やっと、やっと、真っ暗な所から抜け出して……なのに、こんな話持って来やがって。ふふふ……最低だ。お前って、最低だよ。最低過ぎて笑える……」 声が、微かに震えてる。「……すまん」「すまんじゃねーよ! なあ! 謝るくれーなら自分の命、盾にして頼みにくんな。ボケッ! ったく、つくづく卑怯な野郎だ。……お前さ。いざとなったら死ぬ気だろ? そんなんじゃ、断れねーだろうがっ」「あ? 何言ってんだ。俺は……そんな気ねーよ」「ムダだ! 下手な嘘つくんじゃねーよっ! お前も、俺も、同類なんだよ……同じ穴の狢だかんな……隠したって、俺にはお前の考えなんて透けて見えんだよ。分かっんだよ。フン……ダメっしょ? じじぃが一人で、おっ死んだらさ。……本当、お前って、バカで卑怯でサイテーで困った野郎だよ」(嗚呼……やっぱり、引き受ける気だ)「チビ助、まだ引き受けるとは決めてないわよ」 室長が止める。彼女が静かに返す。「そうですね……断って下さい。構わないから」 そして、神津に言った。「おい、亮治。捜査室への依頼はソッコー取り下げろ。すぐ、今すぐだ。みんなに迷惑掛けんな」 彼女のその言葉に、神津がガクリと項垂れる。「バァーカ。何、ショボくれてんだよ。じじぃ。その依頼はな。俺、個人で引き受けるよ。ふっ、なぁ亮治、昔みてーにお前と俺がいりゃあ、こんなの楽勝だろ。俺等だけで充分、だよな?……だろ?」 彼女は神津にニッと笑った。笑ったが、それはいつもの自信がある明るい笑みじゃなかった。目がまるで違う。何かを諦めたみたいな、悲し気な目の色をしていて、ゾッとする。(嗚呼、予想通りの展開になっちまった。……なんとかしねーと彼女、死んじまう。やる前から、そんな面しやがって……)「チビ助! 待て、暴走すんな」「ごめんなさい。待ちません。逆らいます。……断ればそのお嬢とこのアホ男、きっと死んじゃうもん。分かってて……見棄てらんないっしょ。そんなの、僕らしくない!」「ダメだ! 真山っ──」 続く室長の言葉を遮って、今にも泣きそうな顔をしながら彼女は、辛く苦し気に叫ぶ。「分かってるっ! 分かってるよ。室長ぉ……。引き受けたらまた、昴や室長や、みんなに心配掛ける。でも……ごめん。見棄てらんねー。こんなヤツでも、見棄てらんねーんだよ……ホント、ごめん。……僕は、こいつも、お嬢も守るよ。ぜってー死なせねー」「なまえ……。すまねー……」 神津が、項垂れながら謝る。 オレはいつもの口調で、彼女に呆れたように言った。「はあ? このバカ! 一人で引き受けるって?! んなのダメ! 許可しねーからな」 未だに泣きそうな顔をしたままで、彼女も無理にいつもの口調で返す。「うん……。バカだよな。僕もそう思う。昴、ごめん。勝手だけど僕、決めた。大丈夫、ちゃんと片付けるよ。ちょっとだけ……待っててよ。ね?」.
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