ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
神津の話によれば、父親が夏樺に財産を残そうとしてると話が持ち上がった為に、お家騒動が勃発。本妻側が、前々から邪魔だった夏樺を消そうと躍起になってる。本妻側の中に戮と繋がってる奴がいるらしい。だが、本妻側の黒幕が誰かは不明。証拠も揃わない現状だそうだ。「そのパーティーが、ヤバいって所まで何とか掴んだんだが……ヤツらが何人で仕掛けて来るかも分からない。パーティーも迫ってる」「あらら、そりゃまた、すごい状況だな」 小野瀬さんが呆れたように言うと、神津がオレを見て『情けねーが』と心情を、吐露するみてーに言い出した。「さっきそこの兄さんが言った通り、オレ一人じゃ守り切る自信がねーんだ。限界がある。……実は、もう既に犠牲者が出てるんだ。民間のセキュリティの人間が、ヤツ等に殺られてる」 また飛び出す新情報に、室長が食い付いた。「あ? そんな事件の話、入って来てないわよ?」「……多分、あまり広く伝わらねえように操作されてる。実際よくある事故死、という事で片付けられた」「……チッ。お家騒動は、内々で処理したいって訳か」 室長が顔をしかめ、溢した。 海司が、たまらず神津の襟を掴み言う。「何、言ってんだよ! そんなヤベー話……お前、本気で言ってんのかよっ。その状況でこいつに、なまえに身代わり役って……いくらなんでも危険過ぎだ。お前、こいつを何だと思ってんだよ! あんなヒドイ目に合わせて、その上まだこんな事やらせようなんて、あんまりじゃねーかよ! おい、何とか言えよ。冗談だろ?」 それまで黙ったままだった彼女が、疲れたように深くため息をついた。そして、静かに言った。「ふぅー……本気だよ。こいつ、大真面目」 神津は海司を振りほどくと、彼女に頭を下げた。「……すまねえ。だが、お前にしか、頼めねえんだ。お前の腕を見込んで……頼む!」「……俺の、腕を見込んで、か……」 彼女が、神津の言葉を繰り返す。「フン、俺の腕なんて。……お前に、簡単にやられちまう程度なのに?」「…………」 答えない神津。いや、ヤツは自分の卑怯さを、自覚してる筈だ。きっとヤツには、答えられねーんだろう。 そして、彼女も神津が答えない事を予測していたと思う。神津から目を逸らし俯いた彼女が、独り言のように悲し気な声で呟く。「フフッ……参ったね、こりゃ……」(傷付くよな……。昔の男が、自分に捨て駒になれと言っているんだから。傷付かねーワケがねー) 彼女は顔を上げ横を向くと、少しの間何かを堪えるように唇を噛んだ。「……お前はさ、俺が今まで出会った中じゃ、最強って位強いよ。そのお前でも、勝てる自信のねーヤバい連中を相手にしろって事だろ? それ、燃え盛る火の中に飛び込めって事だよなあ……。あーあ、もースンゲー無茶っぷり……」 横を向いたまま、ぽつりと呟く声が、悲しく響く。.
このサイトの読者登録を行います。 読者登録すると、このユーザーの更新履歴に新しい投稿があったとき、登録したアドレスにメールで通知が送られます。