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「で? こんな所まで俺に、何の用だよ?」「ああ、それなんだが……お前の所に警護依頼をしたんだ。聞いてねーか?」「警護依頼?」 彼女は『室長、警護依頼来てるんですか?』と室長を見る。室長はそれには答えずに、男に問う。「…………。ところで、アンタ、何者?」「俺はその警護依頼主のお嬢、宮代夏樺(みやしろなつか)のボディーガード兼執事で、神津亮治(かみづりょうじ)と言います。今回お嬢に相談されて、それで……なまえ、お前の事を思い出してな。頼めねーかと思って。ちょっと探らしてもらった」 彼女は何も言わず、神津をただ、見やった。それは、何かを見極めるような視線だった。チラリと神津も彼女を見返した。が、すぐに逃れるように視線を泳がした。そして、軽い口調で続けた。「そしたら、お前、警官になってるじゃねーか。こりゃ渡りに船だと思ってよ」 そこで、彼女が訝しげに片眉を上げ言った。「……それ、ただの警護じゃねーな? なんか、ヤベー厄介な話だろ?」「お前は、相変わらず鋭でーなー……」「当たりかよ。全く……おめーは。相変わらず、だな……はぁー」 神津の返答に、うんざりしたよう顔をしかめて呟くと、ため息を吐く彼女。「毎度……すまねーな」 申し訳なさそうな顔で言う神津に、諦めたような顏でふっと微かに笑い、ボソッと言った。「……ま、お前らしいっちゃらしいか……。ホント、お前は……」「厄介でヤベー事だと?」 オレが聞くと彼女が『うん、多分、かなりヤベー事だ。こいつが、こういう感じの時はいつもそうだったから、分かるんだ』とあっさりと答えた。 オレはこの段階で彼女が、また危ない事に首を突っ込むかも知れねーと、嫌な予感を感じ取っていた。それは室長も同じようで、これから起こりうる彼女の暴走を牽制するように言った。「厄介事なら、二つ返事で『はい、良いですよ』とは行かないわ。……ちょっと詳しく話、聞かせてもらおうじゃない」 ● ○ ● ○ 神津から事の次第を聞き、彼女が『えーと』と話を整理するように確認した。「つまり、その夏樺お嬢がヤバい連中に命を狙われている、と……。んで、そんなヤベー時に父親絡みのセレブパーティーがあって、どうしても出席しなくちゃいけない……」『ああ』神津が頷く。それまで黙って聞いていた桂木さんが引き継ぐ。「で、彼女のいる捜査室に、警護依頼をした」 オレは聞きながら、この男、神津の勝手さと狡さに腹が立って仕方がなかった。今までのやり取りから察するに、多分……コイツは彼女の性格を知ってる筈だ。(コイツ……なまえが、こんな風に困っていると泣き付かれて『知らない』と突き放せない事も、引き受ければ彼女が危ない目に合うだろう事も、全部承知でこの話を持ち込んで来やがったに違いねー。彼女をなんだと思っていやがる).
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