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恐る恐るオレを、見上げる彼女。不安と苦しみや痛み、そんなのが交じったような、何とも言えない顔をしていた。それはあまりに、痛々しく見えた。辛そうな彼女を見たらもう自分の感情よりも何よりも、とにかく[何とか和らげてやりたい]そんな気持ちが心をしめた。 とりあえず、彼女の頭を引き寄せてオレの胸につけると、そっと優しく頭を撫でてみた。 一方、男は更に続けて海司に言う。「だが……他人のアンタが、とやかく言う筋合いじゃねーだろよ。アンタ、ガキじゃねーんだ。男と女の事に、首突っ込んでくんなよ」 コイツは、こんな風にみんなの前で、曝され傷付く彼女の痛みなど、全く気がついてないんだろう。腹が立ち、気が付けば口を開いてた。「……好き勝手言いやがって」「あー悪いが……面倒だからこの際、今の男にも黙っててもらいてーな」(この野郎!) ぶん殴ってやろうとした時、彼女が動いた。──むぎゅーーっっ!!── 彼女は、引きちぎるような勢いで、男の両頬を思い切り捻った。「っ! いっへーーっっ!!」「当たり前だ。痛くしてんだよ! このアホたれ! 人が黙ってれば、格好つけやがってぇ。ムカつくっ! 何なんだ、てめーはっ! その軽くてうっせー口、きけねーように頬っぺた、ブッちぎってやるーっ!」 そう怒鳴ってスゲー顔で怒りながら、ぎゅーぎゅーやった。「わはった! おへか悪はったー! わはったからはなへ!」 彼女がフンと手を離すと男の頬は赤くなっていた。「……あー痛てーな。全くガキみてーな攻撃しやがって……」 男がやっと離された頬を、痛そうに擦りながらボヤいた。彼女が、ギロっと睨み怒る。「あ゛ーあ? もう一度、噛み付かれてぇーの?」「い、いや、もう充分だよ。……はぁ。ガキの攻撃恐るべし」「チッ! 人をガキ、ガキっつーが、お前だってガキみてーなもんだ。いい年して周りの迷惑も考えねーで、バカがっ! 海司兄ちゃんや昴達に、口挟むな、つーんならこんな所で接触してくんじゃねーよ。おめーが勝手に来たんじゃねーか。それを……アホか! この格好つけじじぃ! みんなにもっとちゃんと謝れ。おめーのせいでせっかくの忘年会が、台無しだろうが! 少しは反省しろ!」「……格好つけじじぃはヒデーな。傷付くぞ? ……はぁ。でも確かに、お前の言う通り。俺が悪い。皆さん、申し訳ない」 男は、彼女に怒られて素直に頭を下げ謝った。 飄々と人を食ったような風だと思えば、怒られりゃー素直に謝る。一体どういうヤツなんだか……。 それから、ひとまず話を聞く事になった。 未だに、ご機嫌斜めな彼女はソファーには座らず壁に凭れた。片腕を腕組みをする要領で胸の前に渡し、もう一方の腕をその上でついて、マスターが用意してくれた氷の袋で頬を冷やしながら、男に話を促した。.
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