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宙に浮いた足を、バタバタさせ尚も叫ぶ。男に、やれやれと飽きれ顔をされたのが、よほど悔しかったのか彼女は覗き込んでいた男の顔を『キィーーッ!』と癇癪を起こし、両手でバリバリッと引っ掻いた。いきなりの猫のような攻撃に男が『うわっ』と怯む。すると彼女はすかさず、男の腕を掴み『くそーっ!』と言うが早いか、ガブッ!と思い切り噛み付いた。「うわあっ! 痛ってえーバカ、噛みつくな! ってぇ! こ、こら! 猫みてーに、痛ーてってーっ! やめろーっ!!」 噛み付く彼女に、男が叫ぶ。──バッチーーンーーッ── 男はたまらず薙ぎ払うように、思い切り彼女を叩いた。『あっ!』全員が叫んだ。勢い良く叩いた拍子に、彼女の後ろ襟を掴んでた男の手が、外れた。『しまった!』と男の声。彼女の身体がポーンッと、投げ出される。まるでスローモーションみたいに、宙を吹っ飛んで行く。咄嗟に身体を動かし、何とか彼女を胸の上で受け止める。「なまえ、大丈夫か!?」 慌てて顔を見ると頬が真っ赤になり、口端が切れて血が出ていた。「切れてる。痛てーか?」「うっ! ……てーぇ……」 そっと触れると痛そうに、顔を歪めて言った。 男が心底焦った顔でふっ飛んで来て、なまえに手を伸ばした。「わ、悪い! つい……思い切り入ったか? 大丈夫か? 見せてみろ」──パシッ!── オレが払い退けるより早く、彼女が『触んなっ!』とその手を払い退け、男を睨み付ける。その瞳は怒りか、それとも悔しさからか潤んでいた。「怒んなよ。悪かった」「っ……ばかにしやがって……だいたい、だいたい、いきなり来て何なんだよーっ! ふざけんなーっ! ……勝手に、あんな風に……なのに……忘れた頃に、現れやがってぇ!」「なまえ?」 オレは胸の上で微かに身体と声を、震わせる彼女に呼び掛ける。(泣きそうになってる?)「酷いっ! お前、酷すぎるー! バカッ、アホたれーっ!」 そう叫び、堪え切れないみたいに泣き出した。それでも、必死に堪えようと腕で涙を拭う彼女。嗚咽が漏れる。「うっ……うぅー……グ……っくしょー! グシュ、ヒグゥ……くやしいぃ……うぅ……ウグ……」 泣き出した彼女の向きを変えて、くるむように抱き直す。彼女はオレにしがみついて『悔しい、悔しいよー』と言いながら泣く。もう人目を気にする余裕が、ないみてーだ。 男はそんな彼女を、うんざりしたように見て言った。「うわぁーガキかよ。勘弁しろよ……はぁ。だから、悪かったって。おい、泣くなよ。俺は女とガキに、泣かれんの苦手なんだよ」(なんて勝手な野郎だ! 突然乱入して来て、散々好き勝手した挙げ句に。こんなになる程思い切り殴っといてガキみたいに泣くなだとっ?!) 男に対し無性に腹が立ち、睨み付ける。.
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