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如月達が『あーっ!』と叫ぶ声や、室長の『ああ?! 誰だ、アイツ!』と言う声、いつものようにどこか面白がるような小野瀬さんの『おや?』と言う声。様々な声が聞こえた。 オレは彼女の元に行こうとしたが、両側に藤守や桂木さんがいた為に通れず、まさかテーブルの上を行くワケにも行かず、少し遅れた。(しまった! 端に移動しておくべきだった! くそー、なんてまぬけだ!) オレがもたついている内に男は、重ねた唇を微かに離し『……お前キスする時位、目閉じろよ』と息の掛かる距離で、瞳を合わせクスッと笑った。 そこで、彼女はハッとしてパチパチと瞬いた。まるで幽霊でも見たような顔で、青ざめ唇をワナワナさせた。そして、渇いた喉から絞り出したみたいな声を発したが、よほど動揺しているらしく、それは言葉にはならなかった。「なっ、なっ……お、お……」「なんだ? ふふ……パクパクして金魚みてーだぞ? ハハ……言葉無くす程、俺に会いたかったか?」 軽い口調で楽しむように言う男に、イラッと来て頭が冷えたのか、彼女からスッと表情が消えてなくなった。 彼女を取り巻く雰囲気が、がらりと変わる。その昔、夜叉と呼ばれていた頃を彷彿とさせるオーラをまとう彼女。そこに、いつもの雰囲気はまるでない。無表情なのに彼女から怒っているのが伝わる。怒りと凄味のようなものが、彼女から放たれ周囲にピリピリと漂っていた。 彼女は、刺すような冷たい目付きで男を捉え睨み付けた。おもむろに男の胸をドンッとつくように後ろに押し、低い怒気をはらんだ声で言った。「は? ……ざけてんじゃねーよ。誰がてめーになんか……。生きていやがったとはな。てっきり疾うの昔におっ死んだかと思ったぜ。ふんっ! それとも今更、あの世からわざわざ喧嘩でもしに舞い戻ったのかよ? 生憎だが、こっちはてめーの顔なんか見たくねーんだよ。とっとと失せろ! じゃねーと、かみ殺すぞ?」 眉を寄せ嫌そうな顔で言い捨てた。言葉通りに見るのも嫌だという風に、プイッとそっぽを向く。だが、言われた男はまるで気にする様子がない。「ふぅーん、お前まだ怒ってんだ? ひょっとして俺、憎まれちゃってる? ……なあ? 知ってるか? 憎しみと愛は、表裏一体って言うぜ……」 どこか飄々した様子でそんな事を口にしながら、彼女にニヤリと笑った。ムッとした様子で『チッ』と舌打ちすると、言い返した。「そりゃ……カタストロフィー理論を言ってんのか? フン、お前が愛だの、心理学だのって、笑えるな……じじぃになってヤキが回ったか?」 今にも喧嘩でも始めそうに、対峙して下から睨み付けたまま、グィっと顔を寄せ言った。「下らねーな。寝言は寝て言えよ。それは[俺が]じゃなく[お前が]忘れられたくねーから、恨まれていたいつー、お前の[願望]なんじゃねーのか?」「そう来たか……フム、なぁ、頭の良すぎる女は、可愛くねぇぞ? 女はバカ位が、丁度良い」「ハンッ! お前なんかに、可愛いと思われなくても結構だね。それによ。バカでやる事しか頭にねークソ野郎よりかは遥かにマシつーもんだぜ」「言うねー。ガキも成長するもんだ」「ああ、じじぃだってもうろくするしな。いつまでも同じじゃねーさ」「その割には、口の悪さは相変わらず直らねーんだな」「なら、お前の女癖の悪さは直ったのかよ? どーせ、相変わらずなんだろ? お互い様だ。ほっとけ」.
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