1ー2。
──相棒──
● ○ ● ○
調書によると
【世田谷切り裂き事件】は世田谷私立星泉女学園の生徒を中心に被害が出ている。
「星泉って、制服が可愛いって人気の学校なんですよね」
「なんや? お嬢、着てみたいんか?」
「いや、そうじゃないけど……」
真山が言い掛けた時、丁度校門から[茶系ブレザーに、赤チェックのスカート。スカートと揃いの赤チェックのリボンタイ]姿の女子高生が、三人出て来た。
真山が『あれかぁー』と呟き眺めた後で、オレ達を振り向いた。
「人気なの、分かりますね。確かに、可愛い制服ですもん」
オレが『だな』と
真山に短く返すと藤守も頷く。
「へぇーほんまやね。可愛らしいわ。やっぱりお嬢も着てみたいんやろ?」
「いや、着てみたいとかないですよ。僕はこの格好が落ち着くんで」
「あーあ、なんや。やっぱりうちの紅一点は、男装止めんへんのかぁー」
「ふふ。妖精さんは、他所で見つけて下さい」
そんな会話をして眺めていると、女子高生達がこちらに気が付いた。
「ちょっと、あの三人超イケてる!」
「っていうか、モデルかなんか?」
「あの長身のスーツの人。マジ、ヤバくない?」
キャーキャーと、こちらを見て騒いでる。
ふと視線を感じ、横を見ると
真山と視線が合う。
「なんだ?」
「長身スーツの人って、一柳さんですよね。やっぱり、モテるんですねぇ。小笠原さんのデータベースによると警察庁&警視庁合同イイ男ランキング一位なんだって聞きましたよ」
「ほんまか?!」
藤守の問いに、
真山がうんうんと頷く。
「一位って自分、すごいやん。したら、うちとこすごいんちゃう? なあ?」
感心したように、藤守が言う。
「ん、確かにすごいです。警視庁の抱かれたい男ランキング一位の小野瀬さんに、抱かれたい男二位の室長」
「へぇ、あの二人がか。なるほどな」
真山の話を聞きながらオレは、室長と小野瀬さんを思い浮かべて納得する。
「それに、他の人達も何だかんだでモテモテ。うちって何気に、凄い面子ですよ」
「お嬢。そのモテモテさんの中に、賢ちゃんも入っとる?」
「入ってる、入ってる。さあ、藤守さん。そのイケメン生かして彼女達に話、聞いて下さい」
「そうやね。こっち見てるしな、お話聞こか?」
「あっ、でも! 藤守さん。ナンパは止めて下さいね。室長に知れたらヤバいです」
「アホか! するわけないやろ。俺かて、地獄は見たないわ!」
二人の会話を聞きながら校門脇の彼女達の様子を見ていると、また
真山がこちらを振り向いた。何か言いたげにオレを、見つめて来る。