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● ○ ● ○ そう当時を振り返り話した後で、なまえはちょっと苦笑い気味に付け足した。「一緒になれた今だから落ち着いて話せるけど、貴方が姫に優しく微笑む度にもう辛くて、苦しくて……胸が引き裂かれるようだった。もちろん、その後、貴方が色んな姫とデートしてる時にもね」 それを言われるとなまえの気持ちが想像出来るだけに、本当に申し訳なく思う。「ゴホン。あーその、アレは……本当にすまなかった。少しだけ言い訳させてくれ。オレも……お前を諦めねばとだな、必死だったんだ」「ふふ、もう良いですよ。貴方も苦しんだみたいだから、許してあげる。あ、でもね昴、これからの浮気は許さないからね」「ん? 浮気なんてしないぞ。本当に、誓ってしないと言い切れる。あんなに苦しんだ末にやっと結ばれたんだぞ。一生大事にするに、決まっているだろ」「ふふ。ありがとう。私も貴方を一生大事にします」「ん、ありがとう。だけど、オレは……あの時は、まだ自覚してなかったな。ただ、かなりあの兄にモヤモヤしたよ」「ん? 兄の方? 何故? 妹君にではないの? あの時は貴方も、私が王子と思っていましたよね?」 オレに結婚の話が出た時、なまえを連れ出し家出した事がある。 家出中、オレを庇いなまえが怪我をした。掟を気にして、自分で手当てをするからとオレを閉め出し手当てを始めたなまえ。オレはたとえ、掟を破る事になっても手当てが必要ななまえを放って置くなんて出来なかった。オレには、そんなワケの分からぬ掟よりなまえの方が、遥かに大事だったんだ。 そして、オレは掟に隠されていた真実を知る事になった。実はなまえは女なんだという事を。 もう遠慮する必要はない、オレ達は結ばれた。二人の事を許して貰う為、城に戻った。そして、父上達から事情を説明してもらった。 ある事情で狙われたなまえの身を守る為に、王子として育てる必要があった。真山王家の嘘掟──一言で言えば[肌を見せるな、見るな]そんな内容の、奇妙な掟──と、小さな時からすり込まれた嘘により、なまえ本人もオレも、なまえが男だと信じていたんだ。 「そうだな、あの家出まで知らなかった。何故か……んーああ、思い出した。あいつがなまえの兄になれたら光栄だとか、確かそんな事を言ったろ?」「ああ……そう言われれば、妹はどうかと仰られて、弟がどうとか、兄がどうとか……」「うん、アレにモヤモヤとな。なまえの兄はオレだ! と思ったのだ。今から考えると自覚はなかったが。アレ、明らかに独占欲と嫉妬だ。妬いていたんだな」 当時を思い出し、苦笑いを浮かべて(でも……)と考えた。「だが、そのジェラシーがきっかけかも知れない。あれから、お前が他の男といるのを見ると心がざわついてな。何故、男に対し対抗心を燃やしたのか分からぬが。本能的に何か感じたのかな……。とにかく男といるのを見ると盗られて──と言うのもヘンな話だが、オレの元からお前がいなくなるんじゃないかと焦燥感に駆られた」
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