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● ○ ● ○(嗚呼、またか……) 僕は、ひとり胸の内でため息をつく。 そんな僕の目の前で昴はとても優しくスマートに、姫を楽しませる。 こんな時の昴は、男の僕から見ても格好良いと思える程に眩しく魅力が溢れている。(昴は、こういう女性がタイプなのかも。この可憐で明るく花のような姫が気に入ったに違いないな。こんなに愛くるしい方なら、それも無理はないが……) 秘めた僕の気持ちに昴が、気付く筈も無い。それ以前に、この愛は許されぬのだ。咲くことも叶わず、人知れず散るが定め……。(嗚呼、運命とは残酷なものだな) 愛しいひとは、僕の目の前で可憐な姫に微笑み、優しい声で話し掛ける。 止めて欲しくても男の僕には、止める事も奪う事も出来ぬ。 ただひたすら耐え忍び、想いをひた隠す事しか出来ぬ。(胸の奥が、痛くて、苦しくて、仕方ない。こんな事、いつまで続けていられるだろう。僕は、いつまで耐えられるの……) 苦しくて、苦しくて、イヤだと泣き叫びたくなるのを堪え心とは裏腹に、微笑みを浮かべ皆と会話を交わしながら、胸の内でそんな事を考える。(心と身体がバラバラだ……。いっそ、心など無ければ良いのに。何も感じなければ、苦しむ事もないじゃないか……フッ。確かこの前も、同じように思ったんじゃなかったか。ふふ……なんだ。思えばこの光景も、まるでデジャブのように同じじゃないか……。そう、あの時に気付いたんだったな。兄上の代わりにパーティーへ出向き、頼まれた姫のお相手をしてたんだ。そこへ僕を探しやって来た昴が合流し、今のような展開になった。あの時、姫と昴が踊るのを見て──苦しくて。胸が焼かれ、張り裂けそうになった。それがなんなのか正体を知りたくて先ず医学書を読み、他の書も片っ端から読んで[恋愛]という言葉に行き着いた。普通は男は女に、女は男にするものらしい。信じられなくて、城の若い使用人の片想いの話も聞き、とにかく情報を集めた。得た事から考えるに、やはりこれはまさしく[恋愛]と言うものに違いないと結論に至った。なんて間抜けな事だろう! 男を愛してしまったとは! 僕は、きっと異常だ。とにかく、この気持ちは絶対に気付かれちゃいけない。昴にも、周りのみんなにも。バレたら兄上にも、昴にも、迷惑が掛かる。それに昴にも嫌われて──いや、きっと軽蔑される。そうなれば、もう一緒にいられなくなる! ──そうだ。しっかりしろ! 気付かれてはならぬ。バレたら昴といられなくなるんだぞ! そんなの嫌だっ! この愛が叶わなくても、せめて一緒にいたい。僕は……昴と、一緒にいたいんだ) そう思う事で辛うじて心を押し込め、平静を保ち公務で不在の兄上の代わりにそつなくご兄妹のお相手を務めた。
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