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● ○ ● ○ あれから早いもので、もう十数年の月日が過ぎ去った。なまえは剣も強くなり乗馬の腕も上げ、立派な王子になった。 子供の頃が嘘のように、誰とでも気さくに話しよく笑う。愛らしい顔立ちと柔らかい物腰。笑顔がトレードマークの若き王子。そんななまえは[微笑みの君]と皆がひそかに呼び『キャーキャー』と騒がれる人気者になった。オレもそれなり人気はあるみたいだが。女中心に騒がれるオレと違い、なまえは老若男女問わず人気があった。 ● ○ ● ○ そんなある日、父上と同行した公務から戻ったオレは、一緒に街にでも行こうかとなまえを探した。 真山城の庭で、なまえを見掛けた。「なまえ、こんな所にいたのか」 手を挙げ、微笑み歩み寄るとなまえが振り向き『おかえりなさい』と笑みを返してくれる。 また一歩と歩み寄ったその時、知らぬ男の声がした。樹の影になっていたが、よく見ると誰かがなまえの近くにいた。「なまえくん、どなたかお見えになられたのかい?」 長身のやはり柔らかい物腰の男が言う。その時、向こうから若い女の声が響いた。「お兄さまー、なまえさまー」 笑顔で手を振り、駆けて来る。「おいおい、おしとやかにしないか。なまえくんに嫌われるぞ?」「姫、そんなに走っては危ないですよ?」 なまえが言ったそばからつまづき、よろめくどこぞの姫。なまえが俊敏に動き、その身を抱き止めた。「姫、お怪我はございませんか?」 抱き止められ頬を染めて姫は、どこかうっとりと言った。「ええ、なまえさまのおかげで……ありがとうございます」「いいえ、お怪我がなくて何よりです」 そう優しく微笑み姫を、支え起こす。「いや、なまえくんありがとう。そうしてはにかんでいると、おてんばの妹もレディに見える。なまえくんのおかげかな?」 笑いながらからかうように言い、ぽんと気さくになまえの肩に、手を置く男。多分、どこぞの王子だろう。「や、やだ……お兄さまったら、何を言い出すの?」 真っ赤になってはにかみ、しなを作る姫。「あはは……でも、君たちお似合いだよ。なまえくん、どうだい? うちの妹をもらってやってくれないかい? あ、そうしたら君は、僕の弟になるのだね。君が弟か……うん、悪くない。これは、真面目にご検討願いたいな」 言いながら爽やかに笑った。見た所二人共、感じは悪くない。
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