ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
庭師は綺麗な花をくれ、厨房の者は美味しいお菓子をくれた。なまえの目線にしゃがみ話し掛けてくれる者。頭を撫でてくれる者。微笑み掛けてくれる者。そうやって皆が、幼いなまえを気に掛けてくれた。 なまえは、びくびくとして言葉を返せない事もしょっちゅうだった。 だけど皆、根気よく優しい眼差しを向けてくれたんだ。 その変化をどう感じてるかと思い、僕は本人に聞いてみた。なまえが言うには嬉しいけど、恥ずかしいんだそうだ。 その話をしてから、僕と一緒の時にまたそういう事があった。どうしたらいいのか分からないなまえは、僕のズボンを掴み僕を見上げ『つゅー……』と呟く。僕は頭を撫で、しゃがむと教えてやった。「なまえ、なまえは僕やくーとはなかよしだろ? みーんなさ、僕やくーみたいになまえとなかよしになりたいんだって」 なまえは、戸惑った顔になった。「難しくないよ。簡単。なまえ、僕とお話する時笑うだろ? こうやってニコーってさ」 僕が笑って見せると、なまえもニコーっと笑った。「そうそう、お話がうまく出来なくて喋るのが嫌だったら、そうやってニコーって笑えばいい。試しにやってごらん」 ● ○ ● ○ それから数ヶ月。なまえは少しずつ皆とも話すようになって、今日のように[僕の所に泊まりたい]とかちゃんと自分の気持ちを、僕以外にも伝えられるようになって来たんだ。(でもあんなにでっかい声を出すのは、カマキリの時以来……いや、さっきの方が、もっとでっかい声だった) そう思うとやっぱり何かあった気がして心配で僕は走る足を早めた。 なまえは、僕の部屋からだいぶ離れた廊下で“ちゅう、ちゅう”と指をしゃぶりながら足を擦っていた。僕を見つけると『つゅーぅ!』と叫んで“ペタ、ペタ”とゆっくり歩いて来た。なまえの歩き方は“ぴょこ、ぴょこ”としてヘンだった。「なまえ、今行くからそこにいろ」 そう言ってから駆け寄った。なまえは、また“ちゅう、ちゅう”と指をしゃぶり、僕を待った。今までした事がなかったのに、僕と居て初めて指しゃぶりをした。それを見て、胸の奥がズキッと痛くなった。「なまえ、ごめんな。裸足で来たの? 足冷たくてぴょこ、ぴょこしてたのか?」 首を横に振り『いたーのいたーの、けー』と言って僕の手を取り膝に持って行った。「あ、もしかして、転んだのか? おまじないしてって?」「ん」「じゃあさ、ここは暗いから先に部屋に行こう?」 頷くなまえの前で背中を向けてしゃがむ。.
このサイトの読者登録を行います。 読者登録すると、このユーザーの更新履歴に新しい投稿があったとき、登録したアドレスにメールで通知が送られます。